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小児歯科専門医が教える、食事のときの「正しい姿勢」

2022.02.23

yamatoyaでは、中原歯科医院の小児歯科医、中原弘美先生と一緒に正しい食事姿勢を研究しながら、健やかな成長を見守るベビーチェアの共同開発を行ってきました。

子どものお口の健康を通して、育児全般のアドバイスをしながら診療をしている中原先生に、食事中の姿勢や歯並び、体づくりについてインタビュー。

今回は、食事の際の正しい姿勢と、歯並びとの関係性についてお話をお聞きしました。

《お話を聞いたひと》
中原歯科 副院長
小児歯科専門医 中原弘美先生

1982年、岐阜歯科大学(現朝日大学歯学部)卒業。大阪府東大阪市で1983年に開院した「中原歯科」で、副院長をつとめる。小児歯科が専門。口腔内はもちろん、それだけでなく患者の身体の健康まで視野に入れた歯科診療を行っている。幼稚園や学校等での保健指導といった、地域への貢献も多い。歯学博士、一般社団法人日本小児歯科学会専門医指導医、ケアマネージャー、臨床研修指導歯科医、米国NLP TMプラクティショナー。

食事をするときに心がけたい「正しい姿勢」

ー子どもが食事をするときの、正しい姿勢について教えてください。

できるだけ体を起こした、足裏が付いた安定した姿勢を維持できると食事に集中できます。全体を通して4つのポイントをご紹介しますね。

 

①テーブルと座面の高さを合わせましょう。
まず、背筋をピンと伸ばした状態で座らせます。このとき、腰と膝の角度が直角になっていることが重要です。
そして、肘を直角に曲げた際に、肘はテーブルと同じ高さになるよう、座面の高さを調整しましょう。

②椅子の座面の奥行きを合わせましょう。
お尻から膝裏までしっかり座面があることが大切です。

③そのまま真っすぐ垂直に足をおろした所に足台を用意しましょう。

ピンと背筋を伸ばしたこの姿勢、一見するとラクな姿勢に見えないかもしれませんが、実は体の構造を考えると、座骨が立ったこの姿勢が、最も体に負担の少ない座り方なのです。

背もたれに体を委ねて座ったり、前かがみになったりすると、重い頭を支えるために、首や背中に大きな負担がかかります。

この話は子どもに限らず、もちろん大人も一緒です。食事のときだけでなく、いつも背筋が伸びた正しい姿勢が習慣化できると、疲れにくく、肩こりやストレートネックも予防します。

食べるときに「足裏がついているか」をチェック

「足の裏全体がピッタリとつく状態」ということが、とても大切です。最近は「足の裏がつくように座る」という情報は一般化してきましたが、これはただ足台さえあればいい、という訳ではありません。

たとえば、背もたれに傾斜があると、おしりがずるずるっと前にずれてしまって、姿勢が崩れます。その状態で足がついていても、正しい姿勢とは言えません。

また、足置きの幅が狭いと、そこにつま先を置くような格好になり、自然と前かがみになってしまい、姿勢が崩れます。

足をまっすぐおろしたときに、足の裏全体がしっかりつく十分な足台を用意しましょう。そして、もうひとつ大切なことがあります。

④お子様とテーブルの間の隙間は子どもの握りこぶし一つになる様に、椅子とテーブルの距離を合わせましょう。
それには、お子様が座ったあとに、椅子を後ろから少し押してあげる必要があります。一人で座って、食事が終わると一人で降りることができる状態は、実はテーブルとの距離が空きすぎです。

この姿勢は、坐骨でしっかり座面をとらえて座っているという状態になります。

姿勢が整うと、手の動きや、食べることに専念できます。また、正しい姿勢で食事を取ることで、口の中も正常に動き、正常な発達が期待できるのです。

正しい姿勢が、きれいな歯並びをつくる

ー食事のときの姿勢と、口の中の発達は、どんな関係があるんですか?

舌を支える骨(舌骨)は、胸や背中と筋肉で繋がっています。そのため、胸や背中、肩甲骨あたりの姿勢が歪んでしまうと、舌の動きや顎の位置に大きく影響します。

生後すぐの、おっぱいやミルクをただ吸ってそのまま喉へ送り込んでいた時期(乳児嚥下)と異なり、舌や、口の中の動きを大きく変える必要があります。

食べものを噛んで食べられるようになるためには、食べ物を口に入れたら口を閉じ、舌や歯の動きによって食べ物を横に動かして歯茎や歯の上に乗せる必要があります。そして嚙み砕いた食べ物を、唾と混ぜて舌の上にのせて、上顎(口蓋)に押し付ける様にして飲み込むことができるように練習が必要なのです。

けれども、猫背だったり、何かにもたれてだらしない姿勢になっていたりすると、体が安定せず、舌がうまく使えなくなってしまいます。

子どもの体は大人と違って、体に比べると頭が大きく、体を支えるだけの筋力がありません。しっかり椅子や足台で支えてあげないと、曲がりやすいですし、支える部分を間違えてしまうと歪みがおこります。

そして、その歪んだ動きに合わせて歯が本来の位置ではないところに動いてしまったり、生え方がいびつになってしまったり…ということが起こります。

そのため、正しい姿勢で食事をすることはとても大切なのです。

 

 

ライター 後藤麻衣子


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中原歯科副院長 小児歯科専門医

中原 弘美

1982年、岐阜歯科大学(現朝日大学歯学部)卒業。大阪府東大阪市で1983年に開院した「中原歯科」で、副院長をつとめる。小児歯科が専門。口腔内はもちろん、それだけでなく患者の身体の健康まで視野に入れた歯科診療を行っている。幼稚園や学校等での保健指導といった、地域への貢献も多い。歯学博士、一般社団法人日本小児歯科学会専門医指導医、ケアマネージャー、臨床研修指導歯科医、米国NLP TMプラクティショナー。

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