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睡眠の専門家にきく「すやすやねんねの小さなコツ」〈寝室環境編〉

2021.09.08

多くのママやパパの悩みの種になっている、赤ちゃんの「睡眠」。

前回に引き続き、子どもの睡眠の専門家「ゆんぱか」さんこと茂木ゆささんをお招きして開催したトークセッションから抜粋してご紹介します。

専門家のゆんぱかさんにお聞きした、睡眠の大切さや、寝かしつけのコツとは?

子どもの睡眠の専門家 茂木ゆさ(ゆんぱか)さん

東京都立大学看護学科卒業後、看護師として病院に勤務。子どもの寝かしつけに苦労した経験と、自身が寝不足の幼少期を過ごした経験から、乳幼児の睡眠を専門的に学び、2020年春に子育てサロン「Lene(レーネ)」を開業。看護師・保健師・養護教諭。CISA認定 小児スリープコンサルタント。米国IPHI認定国際資格 乳幼児睡眠コンサルタント。三児の母。

 

赤ちゃんにとって、安全で快適な睡眠環境を

赤ちゃんが眠れるように、ママやパパはいろいろ試行錯誤していると思います。
私もそうでした。寝付けるように抱っこをしたり、何度も授乳をしてみたり…。

もちろんそれも大事なことですが、実は「眠りやすい環境、眠り続けることができる環境を用意してあげる」ことが、遠回りのように見えて、一番身近な解決策だったりします。

もちろん「これが正解!」というものはありませんが、いくつか対策のヒントがあるのでお伝えします。ぜひいろいろ試してみて、我が子に合った環境を見つけてあげてください。

「暗い=寝る」を習慣で教えてあげる

生後3ヶ月頃までは、昼と夜の差別があまりついていないまま、いつでも寝たり起きたりしている赤ちゃんですが、3ヶ月を過ぎて、だんだん音や明るさがわかってくる頃になると、きちんと「環境を整えてあげる」ことで、寝つきやすくなるという子も多いです。

私がおすすめしているのは、夜はもちろん、お昼寝もできる限り暗くしてあげること。
赤ちゃんも大人と一緒で、暗い方が寝つきやすいです。
また、「暗い=寝る」という環境を習慣として続けることで、そのイメージがつきやすくなります。
外の光や音を程よくシャットアウトしてあげることで、心穏やかに眠りやすくなる子もいると思います。

「音」に関する環境の工夫でもうひとつ。
小さな赤ちゃんは、ザーザーというテレビの砂嵐のような音が好きです。
ママのお腹の中にいるときの音に近いようで、あの音を聞かせることで寝付きがスムーズになるというお子さんも多いです。
ぜひ、試してみてください。

赤ちゃんにとって快適な室温とは?

お部屋の「光」と「音」を整えたら、次は「温度」です。

お部屋が、赤ちゃんにとって「暑い」と感じる環境だと、寝つきが悪くなったり、途中で起きてしまう大きな原因になります。
ママやパパは、どうしても「冷えないように」と、暖かいパジャマを着せてあげたり、布団を多めにかけてあげたくなりますが、実は赤ちゃんは大人よりもずっと暑がりで、大人にとっては少し涼しすぎるかな?と感じるくらいがちょうど良かったりします。

寒い時期は、風邪をひかないか心配になると思いますが、着込みすぎると暑くて起きてしまうので、ほどほどに。
暑い時期は、エアコンの風が直接当たらないように調整すれば、部屋はしっかり涼しくして大丈夫です。
涼しすぎるくらいのほうが寝付きが良かったり、朝までぐっすり眠れたりします。

これも個人差がありますので、いろいろ試しながら、赤ちゃんにとって快適な環境を見つけてみてくださいね。

よく聞く「ねんねトレーニング」は?

「ねんねトレーニング」「セルフねんね」の練習をしたい、という相談もよくお聞きします。
人それぞれ考え方はあるので、どれが正解というわけではありませんが、私自身の意見としては、新生児から4ヶ月ぐらいまでの月齢では、いわゆる「トレーニング」はまだ早いのかな?と思っています。
個人的には、そういったトレーニングは生後6か月を過ぎてからをおすすめしています。

0~4ヶ月ぐらいの時期の睡眠は、本当に個人差が大きいです。
何もしていなくてもセルフねんねができてしまう子も実在しますし、「抱っこでしか寝られない」「授乳でしか寝られない」「寝る前に泣いちゃう」というのは普通のこと。
それはその子の個性ですし、これまでいろいろな赤ちゃんを見てきて、セルフねんねができる子よりも、なかなか寝付けない子の方が多い印象です。

生後3〜4ヶ月に、睡眠サイクルが変わる?

「3ヶ月をすぎて、ようやく睡眠のルーティンが落ち着いてきたかな?と思った矢先、なぜかまた寝付けなくなってしまった」というお悩みをよくお聞きします。

実はこの生後3〜4ヶ月のころは、赤ちゃんの睡眠サイクルができ始めるころ。
と同時に、体が成長して、視覚や聴覚、嗅覚などの五感が発達することで、いろいろなことがわかるようになる月齢です。
今まで見えてなかったものが見えるようになり、聞こえてなかったものが聞こえるようになります。
そうした体や五感の変化によって、音や光が気になって寝つきにくくなったり、寝ているときの物音を感知して起きるようになるのではないか?と考えられています。

「今までと違うな」と感じたら、睡眠の環境を整えるなど、見直してみてくださいね。

周囲に頼りながら一緒に乗り越えましょう!

夜泣き対応や黄昏泣き、眠れなくてぐずる赤ちゃん。
眠いはずなのに眠れない、不快なものはないはずなのに泣き止まない…。
理由もわからず、途方に暮れるママ・パパも多いと思います。私も同じです。

でもそれは、親が悪いとか、あやし方や寝かしつけ方が下手とか、そんなことは全くありません。
「赤ちゃんってそういう生き物」なんですよね。

ただ、毎日泣き声を浴びていたら疲れてしまいます。
そういうときに、誰かお世話をバトンタッチできる人を、ぜひ見つけてほしいです。
パパはもちろん、ばあばやじいじなど、周囲の人に頼れる人は、ぜひ頼ってください。
家族じゃなくても、自治体が整えている子育てサポートも積極的に活用してほしいと思っています。

全部自分でなんとかしよう!とがんばりすぎると、体も心も疲れてしまいます。
ママやパパが少しでも心穏やかに過ごせるよう、周囲に頼れる環境も、つくってもらいたいなと思います。

 

ライター 後藤麻衣子

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子どもの睡眠の専門家

茂木ゆさ(ゆんぱか)

東京都立大学看護学科卒業後、看護師として病院に勤務。子どもの寝かしつけに苦労した経験と、自身が寝不足の幼少期を過ごした経験から、乳幼児の睡眠を専門的に学び、2020年春に子育てサロン「Lene(レーネ)」を開業。看護師・保健師・養護教諭。CISA認定 小児スリープコンサルタント。米国IPHI認定国際資格 乳幼児睡眠コンサルタント。三児の母。

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