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管理栄養士さんに訊く離乳食Q&A vol.1「離乳食をはじめる前に」

2022.12.07

悩みの尽きない子育て。

たくさんのママ・パパが抱えている大きな悩みのひとつが、「離乳食がうまく進まない」「食べない」という食事問題ではないでしょうか。

今回は、保育園で離乳食や幼児食の献立や調理を担当している管理栄養士のユキさんに、そんな離乳食の悩みについていろいろ質問してみました。

万能な解決策などない、正解のない難しい問題ですが「子育てを経験したひとりの親として、ひとつでも参考になれば…」と、インタビューに応じてくださいました。

 

《教えてくれたひと》
管理栄養士 ユキさん

管理栄養士、栄養士、介護食アドバイザー。大学を卒業後、高齢者施設で管理栄養士として勤務したのち、保育園へ転職し、園内の給食室にて乳・幼児食を担当。現在は保育園で離乳食を担当。2児の母。

 

赤ちゃんが食べものに慣れるための「離乳食」

ー今日はどうぞよろしくお願いします!

はい、よろしくお願いします。

まず前提なんですが、私の話が100%正解!ということは決してありませんので、その点だけお伝えしておきたいです。

子どもも親も人それぞれで、食に対する思いも悩みも違います。

今回はあくまで一人の管理栄養士として、また子育てを経験してきた一人の親として、そのひとつの見解と受け取っていただき、悩んだときや迷ったときに、「こんな方法もあるんだな」と参考にしてもらうための選択肢のひとつになれば、幸いです。

 

ーわかりました。ユキさんの子育て体験談も交えて、いろいろお話をお伺いできたら嬉しいです。まず「離乳食」の定義や役割について、改めてお聞きしてもいいですか。

「離乳食」というのは、成長に応じて栄養を補完する食事です。

赤ちゃんの成長に伴い、それまでの栄養源だった母乳やミルクから、少しずつ食事へ移行していきます。まずは食べることに慣れる初期から、中期、後期と進んでいき、やがて固形物が食べられるようになったころが幼児食、そしてやがて大人と同じようなものを食べられるようになっていく、という順ですね。

赤ちゃんが食べものの形状に慣れ、味にも少しずつ慣れていくための、移行・準備期間というイメージです。

 

ー段階を踏んでいくことが大事なんですね。

厚生労働省から出ている「離乳スタートガイド」には、初期(生後5〜6か月)、中期(7〜8か月)、後期(9〜11か月)、完了期(12〜18か月)とそれぞれ回数や量、食べものの固さなどを進めていく順序が示されています。

ただ、必ずこの通りにしなければいけない!というわけではなく、あくまで目安に。我が子のペースを見ながら、焦らず進めてあげてください。

 

ーユキさんは現在、園での離乳食を担当されているんですね。

はい。離乳食の献立を考えたり、調理をしたりしています。

離乳食期から通われるお子さんの場合は、これまで食べたことのある食材などをママやパパにヒヤリングしつつ、初めて食べる食材はまずご家庭で試していただいてから、園で食べるようにしています。

ご家庭のペースに合わせつつ、園と連携しながら初期、中期…と進めていく感じですが、初めての食材は家で食べてもらうよう、お願いしています。

取り分け調理の万能選手は「味噌汁」!

ー調理もされているとのことですが、離乳食期、大人用の食事をつくるときに、うまく作り分けるコツはありますか?

一番シンプルでつくりやすいのは、お味噌汁ですね。

お味噌汁はそれこそ離乳食初期から作り分けができて、中期、後期、その後の幼児食までずっと取り分けやすい料理だと思います。食材もいろいろ入れることができるので、栄養もたっぷり取れますしね。

離乳食初期は、お出汁で大根とかお豆腐を煮て、大人用にお味噌を入れる前に食材だけ取り出して潰したり小さく刻んだり。中期以降はお味噌で少し味をつけたものを取り分けてあげて、食べやすい大きさに切ってあげると良いですね。

その後大人用に仕上げるだけなので、家族みんなで同じものが食べられます。 

ーなるほど。味噌汁は万能なんですね!離乳食を開始するにあたり、準備した方が良い道具などはありますか。

離乳食用の、小さくて食べやすいスプーンがあると便利です。赤ちゃんの口ってとても小さいので、専用のものが良いと思います。

離乳食用のスプーンは、唇に当たっても傷つきにくい素材で作られていたり、赤ちゃんが口に含みやすいように工夫されているので、おすすめですよ。

 

ー木製やシリコン製など、いろいろありますよね。

赤ちゃんとの相性もあるので、なかなか食べ進まない場合はスプーンも何種類か試してみると良いかもしれません。

たとえば、おかゆを食べさせていて「なんか進まないな、おかゆ嫌いなのかな」と思っていたら、実はスプーンの舌触りが嫌いで、別のスプーンに変えたら食べた、ということもあります。

「離乳食がなかなか進まない」というママやパパには、味付けや食材を変えてみるのも手ですが、スプーンとか椅子とか、そういう環境を変えてみたりするのもおすすめです。

 

***

 

今回は、離乳食をはじめる前に準備する道具や、ちょっとした取り分けのコツなどについてお聞きしました。

次回はいよいよ、離乳食を開始するタイミングについてお聞きしていきます。

vol.2の公開をお楽しみに!

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Profile

管理栄養士

ユキ

管理栄養士、栄養士、介護食アドバイザー。大学を卒業後、高齢者施設で管理栄養士として勤務したのち、保育園へ転職し、園内の給食室にて乳・幼児食を担当。現在は保育園で離乳食を担当。2児の母。

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