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0才から考える、きれいな歯並びの育て方 vol.3「離乳食スタート時のコツ」

2025.06.11

きれいな歯並びは、生活習慣の積み重ねで育まれます。
そのなかでも、赤ちゃんにとっての最初の食事、つまり離乳食のスタート期は、お口の発達や噛む・飲み込む力にとってとても大切なタイミング。
でも、「いつから始めたらいいの?」「ちゃんと座れてないけど大丈夫?」など、不安や疑問も多い時期だと思います。

今回は、歯並び育児の専門家・山上あかりさんに、離乳食開始時期に気をつけたいことや、歯並びを育てるための環境づくり、子育てのコツについて教えていただきました。

教えてくれたひと
歯科衛生士
山上あかり さん

一般社団法人 歯並び育児協会」マスター講師。2015年、愛知学院大学 歯科衛生学科卒業。産休・育休を挟みつつ歯科医院に8年間勤務。現在は「矯正のいらない、自然できれいな歯並びを育てる子育て」を広めるため、「歯並び育児講座」の講師として全国で活動中。5歳までの歯並びに悩む親子へのサポートにも力を入れている。子育てがもっと楽しくなるように、日々情報を発信。

 

月齢より大切なのは“おすわりの質”

—前回までは、正しい姿勢をつくる椅子選びなどについて伺ってきました。離乳食の開始時期は、まだ姿勢が不安定なこともありますが、その時期に気をつけることはありますか?

実は、「離乳食を始める=ちゃんと座れるようになっている」というわけではないんです。
よくあるのが、「離乳食は生後5か月からスタートできるから、おすわりもできないと!早く練習しなきゃ」と考えて、おすわりの練習を始めるケースです。

ここで気をつけていただきたいのは、「腰がすわる」とはどういう状態なのかを、きちんと理解しておくこと。
一般的には「5秒ほど座っていられればOK」と判断されがちですが、その姿勢が赤ちゃんにとって本当に自然でラクなものかというと、必ずしもそうとは言い切れません。

やっとの思いで座る姿勢を保っている赤ちゃんにとって、舌やお口をしっかり動かしてよく噛み、飲み込むという食べるための動作は、負担が大きいこともあります。
その結果、噛みにくかったり、飲み込みづらかったり、吐き出してしまったり、うまく噛めないまま丸飲みしてしまったりと、食事の発達に関する悩みへとつながりやすくなってしまうのです。

 

—山上さんとしては、どんな状態が「腰がすわった」と判断されているのでしょう?

ひとつの目安としてわかりやすいのは、赤ちゃんが寝た姿勢から自分の力で体を起こして座れるようになっていること、そして、座った状態で手を床から離しておもちゃなどを持って遊べるようになっていること。
この2つができているかどうかを確認していただくと、判断しやすいと思います。

私たち歯並び育児協会では、「生後5か月になったから離乳食を始める」といった月齢ありきの進め方ではなく、子どもの意欲や、体・お口の発達の状況を見ながら、離乳食を始めるタイミングを考えるようにしています。

ですので、離乳食のスタートにあたって「すぐに椅子に座らせること」にこだわる必要はありません。
必要があれば、ママやパパの膝の上で上半身をしっかり支えながら、無理のない姿勢で食事をすることも選択肢のひとつです。

そして、「しっかり腰がすわったな」と感じられたタイミングで「どんな椅子を選んだらいいですか?」と聞かれたときには、私はいつも、yamatoyaさんの「すくすくチェア」をおすすめしています。

すくすくチェアは、正しい食事姿勢の環境をつくりやすい設計になっているだけでなく、お掃除のしやすさも考えられていて、BLW(ベビーレッドウィーニング)や手づかみ食べにも安心してチャレンジしやすくなるんです。

10~15分座っていられたらOK!ぐずっても気にしすぎない

—物理的に座れるようになったとしても、小さな子どもは、どうしても食事に集中できないこともありますよね。

そうですね。私が「歯並び育児講座」でサポートしているママたちからも、

「食事が進むと立ち上がってしまいます」
「最後まで食べきる前にぐずってしまいます」
「だんだん姿勢が崩れてきてしまって…」

といったお悩みをよく伺います。

そういったときに、私がまずお聞きするのは「食事を始めてから、どれくらい時間が経っていますか?」ということなんです。
もし、すでに10〜15分ほど経っていて、お腹がある程度満たされているようであれば、それほど心配しすぎる必要はないかもしれません。

年齢にもよりますが、実は子どもの集中力はとても短く、5才までの子どもであれば「年齢+1分」ほど、6才以上でも集中できるのは15分程度と言われています。
ですから、食事中にぐずってきたり、立ち上がったり、姿勢が崩れてきたりするようであれば、無理に続けさせようとせず、一度椅子から降ろして休憩する、あるいは思いきって食事を終わりにするなど、柔軟に対応してみてくださいね。

 

—椅子や姿勢以外に、乳児の頃からできる、家庭でできる歯並びケアがあれば教えてください。

きれいな歯並びを育てるために、特別なことをしなくても、今日からすぐに始められるケアがあります。
それが、「お口のマッサージ」です。これは乳児の頃からできて、子どもが何才になってもできるマッサージです。

年齢を問わず誰でも取り入れられる、歯並びケアの基本のひとつです。お口の中をやわらかく、細かく動かせるようにすることで、舌や頬の筋肉の発達をサポートしてくれます。
また、まだ歯が生えていない赤ちゃんの場合は、こうしたマッサージを通して「お口を触られること」に慣れておくことで、のちのち歯みがきの習慣がスムーズに進みやすくなります。

マッサージの方法としては、たとえば歯ぐきをやさしくなぞるように触れたり、上あごをゆっくりと広げるようにタッチしたり、内側から頬を押し広げるように触れるのもおすすめです。舌に軽く触れるのもよい刺激になります。

どの動きも、無理のないやさしい力加減で、赤ちゃんとのスキンシップの延長のような気持ちで行ってみてくださいね。

 

***

 

離乳食のスタートは、「食べる力」や「姿勢の発達」にとって大切な第一歩。
けれど、月齢にとらわれすぎず、お子さんの成長を見ながら無理のないペースで進めることが何より大切です。
ほんの少し意識を向けるだけで、離乳食の時間がもっと心地よく、親子にとって楽しいものになるはず。
子どもの成長をあたたかく見守りながら、きれいな歯並びの土台を、日々の暮らしの中でゆっくり育てていきましょう。

 

前回の記事はこちら

0才から考える、きれいな歯並びの育て方 vol.1「歯並びと姿勢」

0才から考える、きれいな歯並びの育て方 vol.2「理想の食事環境と体づくり」

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Profile

歯科衛生士

山上あかり

「一般社団法人 歯並び育児協会」マスター講師。2015年、愛知学院大学 歯科衛生学科卒業。産休・育休を挟みつつ歯科医院に8年間勤務。現在は「矯正のいらない、自然できれいな歯並びを育てる子育て」を広めるため、「歯並び育児講座」の講師として全国で活動中。5歳までの歯並びに悩む親子へのサポートにも力を入れている。子育てがもっと楽しくなるように、日々情報を発信。

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