2025.09.17

0才からできる虫歯予防(前編)「虫歯になりにくい生活習慣」編

以前の連載「0才から考える、きれいな歯並びの育て方」では、「歯並び育児®」の専門家である歯科衛生士・山上あかりさんに、歯並びと姿勢の関係、正しい食事環境の整え方などのお話をお聞きしました。

今回は、子どもの「虫歯」について。
「毎日ちゃんと磨いているのに、虫歯になってしまうのはなぜ?」
「虫歯を予防するにはどうしたらいいの?」
そんな疑問を持っているママパパへ、虫歯の原因から、毎日の食事の工夫、おすすめのおやつ選びまで、今日からできる虫歯予防習慣をご紹介します。

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山上あかり

山上あかりさん

《教えてくれた人》

歯科衛生士
「一般社団法人 歯並び育児®協会」マスター講師。2015年、愛知学院大学 歯科衛生学科卒業。産休・育休を挟みつつ歯科医院に8年間勤務。現在は「矯正のいらない、自然できれいな歯並びを育てる子育て」を広めるため、「歯並び育児®講座」の講師として全国で活動中。5歳までの歯並びに悩む親子へのサポートにも力を入れている。子育てがもっと楽しくなるように、日々情報を発信。 一般社団法人 歯並び育児®協会

歯磨きだけでは虫歯は防ぎきれない!?

ー子どもの虫歯について改めて教えてください。主にどんな原因で、虫歯になるのでしょう。

虫歯は「細菌」「糖質」「歯の質」「時間」という4つの要素が重なり合うことで発生します。
毎日しっかり歯を磨いていても虫歯になってしまうのは、食生活の習慣や虫歯に対する抵抗力、生活リズムなど、歯磨きだけでは防ぎきれない要因が関わっているからなのです。
子どもの虫歯は単なる「歯のトラブル」にとどまらず、歯並びや顎の成長にも影響を与えることがあるので、注意が必要です。

ー「歯磨きをしっかりしている」だけでは、防ぎきれないのでしょうか。

もちろん歯磨きは虫歯予防にとても効果的ですが、それだけでは完全に防ぎ切ることができません。

虫歯の大きな原因は、ミュータンス菌などの細菌です。
これらの細菌が「酸」をつくり出し、その酸によって歯が溶けていく現象こそが虫歯です。
その酸を生み出すために欠かせないのが「糖質」、特に砂糖です。
砂糖を食べすぎると虫歯になる、というのはイメージが湧きやすいのではないでしょうか。

ただ、そうした食べるものや、歯磨き以外にも、歯そのものの「質」によっても虫歯のなりやすさは変わります。

また、乳歯や、生えたての永久歯は質が弱く、虫歯になりやすい時期です。
例えば同じ環境で育っていても、「上の子は虫歯になりにくいのに、下の子はどれだけ気をつけても虫歯になってしまう」ということがありますが、そこには歯の質の違いも関係しているのかもしれません。

それでもやはり防ぐのに一番大切なのは歯磨きです。
歯の生え変わりが終わるおよそ10才頃までは、保護者の仕上げ磨きを続けてあげるのが理想です。

 

ーそのほか、気をつけるべきことはありますか。

虫歯予防には、歯磨きや食生活、生活リズムに加えて「唾液」も大切な役割を果たしています。
唾液には口の中を洗い流したり、虫歯になりかけた歯を修復したりする力があるのです。

しかし、口をぽかんと開けていると口腔内が乾き、唾液の働きが十分に発揮されません。
また、よく噛まずに食べると唾液がしっかり出ず、虫歯のリスクだけでなく、歯並びやあごの成長にも影響してしまいます。

虫歯予防のためにも、きれいな歯並びを育てるためにも、口を閉じて鼻で呼吸し、しっかり噛んで食べることも、とても大切なポイントです。

 

虫歯になりにくい、健康的なお口を育てるために

ー虫歯になりにくい食事環境についても教えてください。

虫歯予防の観点から「良い食事のとり方」とは、単に栄養のバランスがとれているだけではなく、口の健康を守る食習慣を意識することが大切です。
食事や間食の時間を決めて規則正しく過ごし、ひと口ごとによく噛んで食べることは、唾液の分泌を促して口の中を清潔に保つ助けになります。

先ほどお伝えしたように、唾液は虫歯を防ぐだけでなく、歯並びやあごの健やかな発達にも良い影響を与えてくれます。
また、砂糖を多く含む食品や飲み物を控えめにし、食後には水やお茶を口にする習慣を持つことも、歯を守るうえで欠かせません。

とくに注意したいのが「ダラダラ食べ」です。
食べ物を口に入れると、口の中の細菌は糖を分解して酸を作り、その酸が歯の表面を溶かし始めます。
通常であれば、唾液が酸を中和し、歯は再石灰化によって修復されます。しかし、食事やおやつをだらだらと続けてしまうと、口の中は長時間酸性の状態になり、歯が修復される時間がなくなってしまいます。

その結果、虫歯が進行しやすくなってしまうのです。
だからこそ、毎日の食事の仕方そのものが、虫歯を防ぐ大きなカギになるのです。

食べるものに気をつけたり、あとはおやつにも虫歯につながりにくいものを選んだりと、できる範囲で工夫をしてみてくださいね。

 

ー良い歯を育てるための、おすすめのおやつはありますか。

おやつ選びは、子どもの歯並びや虫歯予防にもつながります。

例えば、海苔を巻いたおにぎりは噛む回数が増えて満足感も得られますし、蒸し芋や焼き芋は自然な甘みで安心して与えられる食材です。
スルメや出汁昆布のように噛みごたえのあるものは、顎をしっかり使うことで歯並びの発達を助けてくれます。ドライフルーツやナッツ類は砂糖不使用のものを選び、食べるときは必ず大人が見守るようにしましょう。きゅうりやにんじんなどの野菜スティックや、丸かじりできるとうもろこしも、噛む力を育てるのにぴったりです。

スナック菓子や甘いジュースは控えめにして、よく噛んで楽しめるおやつを取り入れることで、歯並びの成長にも虫歯予防にもつながります。

おいしく楽しく食べながら、健やかな口の環境を整えていきましょう。

***

 

虫歯予防は「歯磨きだけ」で完結するものではなく、生活全体の中に小さな工夫を積み重ねることが大切。
食事の時間を決める、しっかり噛んで唾液を出す、虫歯になりにくいおやつを選ぶなど、日々の習慣が子どもの歯を守ります。
親子で楽しみながらできることから取り入れてみてくださいね。

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yamatoya magazine

わたしたちは、子ども家具メーカー「yamatoya」です。

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