前編では、虫歯になりにくい生活習慣についてお伝えしました。
後編は、赤ちゃん期からできる虫歯予防や、乳歯の虫歯についての考え方などについて、「歯並び育児®」の専門家である歯科衛生士・山上あかりさんにお聞きしていきます。
将来のきれいな歯並びと健やかな口の環境づくりのヒントとして、ぜひ活用してくださいね。
2025.10.22
前編では、虫歯になりにくい生活習慣についてお伝えしました。
後編は、赤ちゃん期からできる虫歯予防や、乳歯の虫歯についての考え方などについて、「歯並び育児®」の専門家である歯科衛生士・山上あかりさんにお聞きしていきます。
将来のきれいな歯並びと健やかな口の環境づくりのヒントとして、ぜひ活用してくださいね。
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《教えてくれた人》
ー0才で歯が生え始めたら、すぐに歯磨きを開始すべきですか?
「歯が生えたら歯磨きを始めなくちゃ」と思われる方は多いですが、実は歯が生える前からお口を触られることに慣れさせてあげることがとても大切です。
ママやパパの指でお口の中をやさしくなでたり、唇や頬、歯ぐきを軽くマッサージしたりすると、赤ちゃんは「お口を触られる」ことを自然に受け入れられるようになります。
こうした習慣があると、歯が生え始めてからも歯磨きをスムーズに受け入れやすくなりますし、同時にお口まわりの筋肉を刺激することで、柔軟でよく動く口になり、将来的にきれいな歯並びにもつながります。
赤ちゃんとのスキンシップのひとつとして、楽しく声をかけながらお口に触れる時間をつくってみましょう。
そうした小さな積み重ねが、歯磨き習慣を無理なく身につける大切なステップになります。
ー乳歯の頃の虫歯は、永久歯に生え変わったあとも影響はあるのでしょうか。
乳歯の虫歯は、その後の「歯並び」にも大きく影響することがあります。
例えば、虫歯が進んで乳歯が早く抜けてしまうと、あとから生える永久歯のスペースが足りず、歯並びがガタガタになりやすくなります。
また、痛みのせいで片側ばかりで噛んでいると、噛み合わせのバランスが崩れたり、あごの成長に偏りが出てしまうことも。
さらに、痛みを避けて噛む回数が減れば、噛む力が育たず、あごの発達不足や発音への影響につながる場合もあります。
「乳歯はいずれ生え変わるから大丈夫」と思われがちですが、乳歯には将来の永久歯のための、歯並びの土台をつくる大切な役割があります。
だからこそ、乳歯の時期から虫歯を予防し、しっかり噛める環境を整えてあげることが、きれいな歯並びにつながっていきます。
ー赤ちゃんのうちは、なかなか歯医者へ通うのはハードルが高いのですが、歯医者はいつから通うのが理想でしょうか。
赤ちゃんの歯が生え始めると、「いつから歯医者に行くべきかな?」と迷う方も多いと思います。
私は「気になったとき」が一番良いタイミングだと考えています。
悩み続けるよりも、気軽な気持ちで歯医者さんに相談してみることをおすすめします。
小さいうちから定期的に通い始めることで、「歯医者=怖い場所」ではなく「歯をきれいにしてくれる場所」という印象を持たせてあげられるのも大きなメリットです。
また、かかりつけの歯医者さんがあると、予防や習慣づけだけでなく、いざというときにも安心です。
元気いっぱいの子どもたちは、転んで唇を切ったり、歯をぶつけてグラグラさせてしまったり、時には歯が抜けたり欠けてしまうこともあります。
そんな突然のトラブルでも、通い慣れた歯医者さんがいれば落ち着いて対応できますし、「ここに相談すれば大丈夫」と思えるだけでママやパパの不安も和らぎます。
歯科通いで大切なのは、歯医者さんを「怖い場所」にしないこと。
「虫歯になったら注射しなきゃいけないよ」と怖がらせるのではなく、「優しい先生やお姉さんがいるよ」「ピカピカにしてくれるよ」と、楽しいイメージを伝えてあげてください。
定期健診を笑顔で迎えられるように、普段から前向きな言葉をかけてあげることが、歯医者嫌いにならない大切なポイントです。
ー「フッ素」塗布などは、乳児の頃から定期的にした方がいいのでしょうか。
フッ素は「歯を強くする」ために欠かせない成分で、虫歯予防に大きな力を発揮します。
フッ素が歯に取り込まれることで再石灰化を助け、傷ついた部分を修復しやすくしてくれます。
また、虫歯菌の働きを弱め、歯の質そのものを強くして酸に溶けにくい状態をつくってくれるのです。
こうした働きが重なることで、フッ素を日々のケアに取り入れると虫歯予防の効果はぐっと高まります。特に乳歯や生えたての永久歯の時期には、フッ素の力が子どもの歯を守る大きな助けとなります。
ー「フッ素を定期的に塗布していれば安心」というイメージもありますが……。
フッ素は虫歯予防に役立つ成分ですが、「フッ素を使っていれば安心」というわけではありません。虫歯になりにくい環境を整えるためには、フッ素や歯磨きだけでなく、毎日の食習慣や生活リズム、そして唾液の働きを十分に引き出すことが欠かせないのです。
たとえば、私の4才の息子はフッ素に頼らなくても虫歯ゼロで過ごしています。
私自身もフッ素入り歯磨き粉はほとんど使いませんが、それでも虫歯ができないのは、食事のとり方を工夫し、よく噛んで食べ、ダラダラ食べをしないよう意識しているからです。
もちろん、すでに虫歯が多いお子さんやリスクが高い場合には、フッ素を活用することも有効な選択肢のひとつです。
ただ、その前にまずは食生活や生活リズムを整えて、虫歯になりにくい環境をつくることが大切だと思います。フッ素が必要かどうかは、日々の習慣を見直しながら考えていくのが理想ではないでしょうか。
ー歯磨きもフッ素も、日々の習慣も、それぞれ大切なポイントということなんですね。
虫歯予防は「歯磨きだけ」で成り立つものではなく、日常のちょっとした工夫が大きなカギになります。おやつの時間を決めたり、仕上げ磨きを遊び感覚で取り入れたりといった習慣の積み重ねが、子どもの歯を守り、健やかな歯並びを育てる土台になります。
無理なく続けるポイントは、親子で一緒に楽しむことです。好きな歯ブラシを選んだり、歌を歌いながら磨いたりするだけでも、虫歯予防はぐんと身近で楽しいものになります。日々の小さな工夫を重ねながら、お子さまと一緒に「元気な歯」を育てていきましょう。
***
子どもの虫歯を予防するために大切なことを、前編・後編にわたって教えていただきました。大切なのは、無理なく、親子で楽しみながら続けていくこと。今日から始められる小さな習慣で、ぜひ一緒に子どもたちの健やかな歯と、未来の笑顔を育てていきましょう!
わたしたちは、子ども家具メーカー「yamatoya」です。
子ども家具をつくってきた歴史は、
子育て情報蓄積の歴史でもあります。
リアルな体験や役立つお話を
全国の子育て世代のみなさんと
共有したいと思っています。
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