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家族の家具のこと、もっと話そう「そいねーる」編

2021.11.24

yamatoyaのアイテムについて深掘りしていく、「家族の家具のこと、もっと話そう」シリーズの第二弾。

今回は、ベビーベッド「そいねーる」のお話です。
2015年に初登場した「そいねーる」。今年2月にリニューアルした「そいねーるⅢ」も、人気を集めています。 前回に続き、プロダクトデザインを担当した有限会社スタジオポイントの澤田剛秀さんと、yamatoyaの設計士、市川和明さんに、そいねーるの誕生秘話をお聞きしました。

《お話を聞いたひと》
プロダクトデザイナー 澤田剛秀さん

有限会社スタジオポイント代表。名古屋市立大卒、愛知県立芸大院卒。2005年にデザイン事務所を設立。グッドデザイン賞、Residential Lighting Awards、その他デザインコンペなどの受賞歴多数。商品開発はもちろん、商品やサービスの開発支援やブランディングなども得意。2015年から、yamatoyaに製品開発アドバイザー・ブランディングコンサルタントとして参画。二児の父。

市川さん

《お話を聞いたひと》
yamatoya 設計士 兼 子育て研究員  市川 和明さん

インテリアデザイン学科を卒業後、2011年2月にyamatoyaに入社。家具の設計をメインに、工場の選定や量産管理なども担当する。子育て世代に寄り添った家具設計を目指すべく、2016年からはyamatoyaの「子育て研究員」として、子育て世代のライフデザインを探究。一児の父。

 

安全に添い寝をするためのベビーベッド

ーベビーベッド「そいねーる」の、これまでの歴史を教えてください。

市川
「そいねーる」は、大人のベッドや布団につけて安全に添い寝ができるベビーベッドで、2015年9月にデビューしました。就寝時に⾚ちゃんの様⼦がわかるように添い寝がしたい、寝室で一緒に寝たくてもベビーベッドが入らない、せっかく寝てもベビーベッドに移動すると起きてしまう…などのお悩みを考慮し、床板の⾼さ設定を段階的に変更できるようにして⼤⼈のベッドとつなげることができる「添い寝用ベッド」として登場しました。
2017年には、⼤⼈のベッドの傾向に合わせて、床板をさらに⾼く対応できる「そいねーる+move」、4才まで長く使える「そいねーる+long」へと進化していきました。
そして2021年2⽉には、床で寝ているママやパパでも添い寝ができるよう、床板の高さを21段階で調整できる「そいねーるⅢ」が誕生しました。

布団でも添い寝ができる「そいねーるⅢ」

 

赤ちゃんとの暮らしを「再定義」する

ー新しい「そいねーる」は、どうやって生まれていくんですか?

澤田
yamatoyaさんの商品開発って「さあ、ベビーベッドの新作をつくろう!」というスタートではないんですよね。
もっと根本的なところで「子どもがいる暮らしの家具ってどうあるべき?」「子どもの居場所や、お世話をする場所をゼロから考えよう」という根本的なテーマをスタートラインにしています。

市川
ローチェアのお話をしたときにも出てきましたが、開発メンバーを中心にチームで集まって、yamatoyaの未来の話をする「アドバンス」が定期的にあるのですが、そいねーるは、そのときに出たアイデアも大きなきっかけになりました。

澤田
ベビーベッドって「赤ちゃんを寝かせておく場所」だと認識されがちですが、実際はその側面だけではなく、「赤ちゃんをお世話する場所」として使う時間も結構長いですよね。
「眠る」ことばかりに目を向けるのではなく、「お世話するために最適な場所って?」という根本的なところから考えていくことで、いろんな視点が見えてくると思うんです。
ベビーベッドの基準とか、安全性とか、売り場や売り方などの諸条件を一切取っ払って、まずは自由に考えます。
出てきたアイデアは、ベビーベッドと言うよりもベビーサークルに近いような大きなものでしたね。

市川
ありましたね。すごい大きかった(笑)。
商品としては考えられないけど、確かに理想の“居場所”でした。

澤田
そうそう。
「こんなところで赤ちゃんのお世話できたらいいよね」「こんな居場所があったらいいよね」っていうその理想を、チームのみんなで共有できたんです。
商品開発って、手慣れてくると無意識にブレーキをかけてしまいがちなんですよ。その先に起こり得る問題をつい先読みして、それを回避するようなアイデアしか出なくなってしまうんです。でもそれでは、新しい提案はきっとできない。
だからこそ、目的だけを明確にして、それを阻むものを一切忘れて「私たちが考えるベストはどれか?」をじっくり考えてみることって、とても大切なんです。

市川
そこから「これって何かできそうじゃない?」っていう、アイデアの種のようなものに発展していくんですよね。

澤田
みんなで考えたその理想の景色を、チームで目指すゴールのような感じで共有できることで、ものづくりの作り込みや、優先度の置きかたが変わってくると思います。
そこではじめて、コンセプトをちゃんと残しつつ、どんなかたちにするか? リアルな子育て世帯の暮らしにどう落とし込んでいくか? ビジネスとして成り立たせていくか? を考えながら、商品をさらに考えていくんです。

市川
あのとき考えた試作、柵は、布でしたよね。

試作品の前扉布モデル

澤田
そうそう。
ロールスクリーンみたいな前扉でもいいんじゃない?とかね(笑)。そもそも「ベビーベッドを考える」ではなく、「お世話をする場所を考える」というところからきてるから、別に材料は木じゃなくてもいいんですよ。

市川
国が定めるベビーベッドの基準などの条件面もあるので、もちろん叶わなかったこともたくさんありますが、でもあそこまで風呂敷を広げることができたからこそ、できた議論も、飛び出してきたアイデアもたくさんありました。
そのおかげで、今のそいねーるが生まれていると思っています。

 

 

商品へと落とし込む、デザインの力

ー今年出た「そいねーるⅢ」は、床寝でも添い寝ができる、ベビーベッドの常識を覆すような提案ですよね。

澤田
「床暮らしを考える」っていうテーマ、なかなか答えが出なくて、毎年繰り返して、何度もしつこく考えてましたよね。いっちー(市川)が担当で。だいぶ悩んでた気がする。

市川
ですね。
何年やってたんだろう…。長かったです。

澤田
アドバンスのときに、ローチェアと似たようなアプローチで「そいねーるlow」みたいな床寝モデルがあったらいいんじゃない?っていうアイデアが出たんですよね。
それとは別で、そいねーるシリーズのリニューアル企画も動き始めて、当初は「2ラインナップのデザインをお願いします」って依頼を受けて…。

市川
そうでした。
あのときはまだ、それぞれ別の文脈の話でした。

澤田
これまでのそいねーるのユーザーさんも大切にしたいし、新しい提案もしたい。単純にモデルを増やしすぎてお客様を混乱させてもいけない…と考えて、その二つのアイデアを整理して、足を取り外すことで21段階で調整可能な、床寝にも対応できる「そいねーるⅢ」が生まれました。

市川
これは本当に、デザインの力だなあ、と思いました。
「床寝のためのベビーベッド」という、おそらくベビーベッド史上初めてのことを、これまでのそいねーるの文脈の延長線上でうまくまとめてもらえて。感動しました!

ー今後の「そいねーる」の展望、展開は?

市川
「そいねーる」の開発で、こういったものづくりの考え方を身につけるきっかけになって、とても勉強になりました。
序盤から「リニューアルしよう」という目的で手を入れていくと、ただの改良や改善で終わってしまうので、何度もしつこく探り、掘り下げながらプロダクトの精度を上げて、提案できる暮らしをよりリアルなものにしていきたいです。

澤田
精度が上がってくることで、yamatoyaさんからベビーベッドを通して、新たな価値が提供できるようになるのが理想ですよね。
今も現在進行形で、どんなシーンで使ってもらえるのか?を考えたり、新しい過ごし方や寝方の提案、寝かしつけのときのことなど、まだまだ掘り下げ続けています。
ベビーベッドだけでなく、子育ての暮らしそのものを再定義し、アップデートし、常に提案し続けられるものづくりがしていきたいですね。

 

ライター 後藤麻衣子

 

商品深堀シリーズ:家族の家具のこと、もっと話そう「すくすくローチェア」編も、合わせてどうぞ。

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yamatoya 設計士 兼 子育て研究員

市川 和明

インテリアデザイン学科を卒業後、2011年2月にyamatoyaに入社。家具の設計をメインに、工場の選定や量産管理なども担当する。子育て世代に寄り添った家具設計を目指すべく、2016年からはyamatoyaの「子育て研究員」として、子育て世代のライフデザインを探究。一児の父。

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プロダクトデザイナー

澤田剛秀

有限会社スタジオポイント代表。名古屋市立大卒、愛知県立芸大院卒。2005年にデザイン事務所を設立。グッドデザイン賞、Residential Lighting Awards、その他デザインコンペなどの受賞歴多数。商品開発はもちろん、商品やサービスの開発支援やブランディングなども得意。2015年から、yamatoyaに製品開発アドバイザー・ブランディングコンサルタントとして参画。二児の父。

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