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管理栄養士さんに訊く幼児食Q&A 前編「食が進まないときはどうする?」

2023.04.19

離乳食を経て、幼児食に移行してからも「好きなものばかり食べる」「栄養バランスが気になる」など、悩みの尽きない我が子の食事問題。

保育園で離乳食や幼児食の献立や調理を担当している管理栄養士のユキさんに、幼児食の悩みについていろいろ聞いてみました。

正解のない問題ですが「子育てを経験したひとりの親として、ひとつでも参考になれば…」と、インタビューに応じてくださいました。

 

教えてくれたひと
管理栄養士 ユキさん

管理栄養士、栄養士、介護食アドバイザー。大学を卒業後、高齢者施設で管理栄養士として勤務したのち、保育園へ転職し、園内の給食室にて乳・幼児食を担当。現在は保育園で離乳食を担当。2児の母。

 

*ユキさんの離乳食に関する記事はこちら
管理栄養士さんに訊く離乳食Q&A vol.1「離乳食をはじめる前に」

 

大人と「一緒においしく食べる」ことが大切

ーそもそも「食べてくれない」と悩んでいるママやパパは多いと思います。家庭の食卓で、できる工夫があれば教えてください。

まずは「一緒においしく食べる」ことに尽きますね。

離乳食の頃は食べさせるのにつきっきりで、子どもだけ食事時間が違うというご家庭も多いのではないかと思います。

離乳食から幼児食に切り替わって、ある程度自分で食べられるようになってきたら、ぜひ周囲の食事と同じ時間帯にして、みんなで「おいしいね」と声をかけ合いながら食べられると理想です。

「自分ひとりだけ食べさせられている」という状況よりも、「家族そろってみんなで食べる」ということは、子どもにとっても楽しくて嬉しいことです。

 

あとは子どもって家族のことを見てるので、ママやパパがおいしそうに食べることも結構大事ですよ。

「わあ、これおいしいね!」と声をかけ合いながら食べることで、どんどん楽しい食卓になっていくと思いますし、周りがおいしそうに食べていると、子どもも気になって口に運んでくれたりするかもしれません。

大人と同じものを食べる際も、盛り付けは個別で。

大皿に盛って各自で取るスタイルだと、嫌いなものだけ取らなかったりしますし(笑)。

自分のお皿に乗っている分を食べ切れた満足感や、おかわりへの意欲も湧くと思います。

 

ー「ごはんだよ」と呼んでも着席してくれない、という悩みについてはどうでしょうか。

頭ごなしに「座りなさい!」と叱る前に、なぜ着席したくないのか、理由を知ることが先決ですね。

日中、保育園で給食をおかわりしたり、おやつをたくさん食べてお腹がいっぱいなのかもしれない。ごはんを待ってる間に遊んでた遊びの続きをしたくて、席につかないのかもしれない。それ以外にも、もしかしたらお腹が痛いとか気持ち悪いとか、体調が悪いのかもしれない。

まずはその原因を探してみることからですね。

遊んでいて、そこから食事への切り替えが単に苦手なお子さんもいるので、その辺りは、園などで活動から活動への切り替えをどう工夫されているのか、保育士さんに聞いてみるのも手です。

 

ある程度割り切りつつ、地道に声かけを

ーやっと着席してもなかなか食が進まないとき、声かけや環境づくりのコツってあるんでしょうか。

目の前の「食べるもの」「食べる量」を明確にすることで、もしかしたら成功率が上がるかもしれないのでやってみてはどうでしょうか。

ちょっと量を減らして「これだけはがんばってみよう」とか。達成できそうなゴールを設定することで、食べることに達成感を与えつつ…というイメージです。

 

ーでは、「ごはんは食べないけれどお菓子やアイスなら食べる!」というときはどうすればいいでしょう…?

あるあるですよね。わかります(笑)。

でも、大人でも夏の猛暑日に「そうめんなら食べられるけど、唐揚げは無理」みたいなときってあるじゃないですか。実はそれと一緒なんじゃないでしょうか。

いろんな声かけをしてもダメなら、「今は気分じゃないんだな」って割り切るしかないのかも。

ママやパパもせっかく準備したご飯が無駄になってしまって大変だと思うんですが、「これを食べなさい」ではなく、食べられるものをお子さんと相談しながら、探っていくしかないんですよね。

 

食事の時間にきっちり食べるのが理想ではあるんですが、「またお腹が空いたら食べるかも?」くらいの気持ちで、一旦食事を終了させて、こまめに「食べる?」と聞いてみるのもいいかもしれません。

一日の栄養バランスが偏るとか、あとでお腹が空いちゃうんじゃないかとか、心配ごとは数え切れないほどあるとは思うんですが…。

 

どちらにしても、地道な方法しかなくて、それも必ず成功するという保証のある方法は皆無なので、ママやパパは本当に大変だと思います。

紹介した方法もほんの一例ですが、何か困ったときに参考にしてもらえたら、嬉しいです。

 

***

 

幼児食となると、気分によって食べなかったりすることが増えてきますよね。ある程度割り切りつつ、地道に付き合って行くことが大事です。

次回は、この「管理栄養士さんに訊く!」シリーズもいよいよ最終回。

好き嫌いの克服法についてです。後編をお楽しみに。

 

栄養管理士ユキさんのこれまでの記事はこちら

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Profile

管理栄養士

ユキ

管理栄養士、栄養士、介護食アドバイザー。大学を卒業後、高齢者施設で管理栄養士として勤務したのち、保育園へ転職し、園内の給食室にて乳・幼児食を担当。現在は保育園で離乳食を担当。2児の母。