ベビーチェアに座るこども
#たべる #乳児 #幼児

ベビーチェアのテーブルって、どうして必要なの?

2021.08.01

ベビーチェアに付属する、専用テーブル。
元からついているタイプから、オプションでつけるタイプ、そもそもついていないタイプまで、いろいろな選択肢がありますよね。

「ベビーチェアにはテーブルを付けたほうがいいの?」「ダイニングテーブルにチェアを寄せて食べる時とどう違うの?」など、よく寄せられる質問について、ベビーチェアの設計担当 兼「yamatoya子育て研究員」の市川さんに聞いてみました。

市川さん

《お話を聞いたひと》
yamatoya 設計士 兼 子育て研究員 市川 和明さん

インテリアデザイン学科を卒業後、2011年2月にyamatoyaに入社。家具の設計をメインに、工場の選定や量産管理なども担当する。子育て世代に寄り添った家具設計を目指すべく、2016年からはyamatoyaの「子育て研究員」として、子育て世代のライフデザインを探究。一児の父。

 

ベビーチェア専用テーブルの役割は?

腕の中でおっぱいやミルクを吸うだけだった赤ちゃんも、離乳食が少しずつ進み、腰がすわったころ、イスで食事をするようになります。

専用テーブルがついたベビーチェアの、最も大きなメリットは、テーブルとの距離や高さを一定に保つことができるため、いつも同じ環境で食事ができる点です。また、テーブルがあるおかげで食べこぼしが床に落ちにくくなり、助かる!という声もよく聞きます。

そのほか、個人差はありますが、テーブルに手を置くことで姿勢が安定し、落ち着いて座れる子も多いようです。その一方で、目の前の食べ物で遊んでしまう時期には食器をひっくり返されてしまうなど、思うように使えなかったり、食べる量が増えてくるとテーブルに置き切れなくなったり…ということも。ダイニングのレイアウトによってはテーブル付きのベビーチェアを置くことで動線が狭くなってしまう場合もあるため、目指したい食事環境やライフスタイルによって検討したいアイテムのひとつです。

今回は、今挙げたようなメリット・デメリットの視点ではなく、「子どもの健やかなからだづくり」という視点に切り替えて、テーブルがどのような役割を担っているかを一緒に考えていきたいと思います。

 

食べさせる時期=歯が生えてくる時期

ベビーチェアの専用テーブルがもっとも活躍するのは、“親が食べさせてあげる時期”です。

離乳食が進み、腰がすわり、ひとりで安定して座れるようになる時期、いろいろな硬さ・形状のものが食べられるようになる頃というのは、歯が生えてくる時期と重なります。

実は、歯並びやかみ合わせは、遺伝よりも食事の環境による影響が大きいとも言われています。

歯は、唇・頬・舌の力のバランスが取れたところに並んで生えてきます。よって、偏ったところにばかり力が入るなど、変な“食べグセ”がついてしまうと、口まわりの筋肉のバランスが崩れ、乳歯の歯並びやかみ合わせに悪影響が出る場合があるのです。

不自然な食べグセをつけないために、体の向きや目線に無理のない、正しい姿勢で食べることが重要です。親がごはんを食べさせるときの理想は、「子どもの真正面から、同じ目線の高さで」。正面から「まっすぐ」スプーンを向けるのが、理想的な食事スタイルです。

 

「横からアーン」が歯並びの歪みの原因に?

ダイニングテーブルを家族みんなで囲む“団らんスタイル”はよく見聞きしますが、子どもの歯並びやかみ合わせを考えると、実はあまりおすすめできません。

なぜなら、親が隣に並んで座り、右側からスプーンを出して「アーン」と食べさせることで、歪んだ姿勢で食べることになるからです。まだ視野の狭い子どもは、いつも右ばかりを気にしながら体や首をねじり、その状態で“もぐもぐ”と口の筋肉を動かすことになってしまいます。

そのほか、子どもが低いイスに座っている場合も同様。子どもはごはんをもらうために親を見上げ、いつも少し上を向いて、顎を突き出すような姿勢で口を開けることになります。

外出時などの一時的なものは問題ありませんが、一日3回の食事が毎回このスタイルだと、子どもはいつも右側や上側など「ごはんがある方」を気にしながら、不自然な姿勢で口を動かすことが習慣になってしまうのです。

こうした好ましくない習慣がつくことで、口まわりの筋肉や舌を正しい位置で動かすことができず、舌や顎の位置がズレてしまい、結果的にかみ合わせや歯並びに悪い影響を与えてしまう可能性が高いのです。

ダイニングテーブルをはさんで90度の位置に座った光景。この場合もななめからご飯をあげることに。

 

理想的な食事スタイル「まっすぐ、もぐもぐ」

そこで、ベビーチェアの付属テーブルが活躍します。

ベビーチェアにテーブルを取り付けることで、親は子どもの真正面に座り、子どもの目の前から「まっすぐ」食事を与えることができます。ハイチェアなら、ダイニングチェアに腰掛けた親と、目線の高さも同じくらい。

子どもとアイコンタクトを取り、「おいしいね」「じょうずだね」と、目を見て声をかけながら、正しい姿勢で食事をすすめることができます。

小さな子どもの視野は、大人に比べるととても狭いです。正面に親の姿があることは、子どもにとっても大きな安心感になるでしょう。さらに、テーブルは子どもにとっての安心できるパーソナルスペースにもなります。いつも目の前に大好きなママやパパがいて、手元のテーブルにはおいしそうなごはんが並ぶことで「ここは“いただきます”の場所だ!」と覚えていくかもしれません。

食事の準備が整うまでのあいだ、テーブルの上におもちゃを置くことで、遊んで待つこともできるのも、テーブルのメリットのひとつです。

「おもちゃを置いておける」「食べこぼしをキャッチしてくれる」などの物理的なメリットに加えて、正しい姿勢で「まっすぐ、もぐもぐ」を習慣にできる、ベビーチェアとテーブル。

「ここにすわれば、目の前にママが来てくれる」
「“あーん”と声をかけてくれるパパの顔がよく見える」

ベビーチェアは、子どもにとっての「いつもの安心できる食事場所」であると同時に、健やかな成長を助けてくれるアイテムのひとつでもあるのです。

 

 

*食事の姿勢と歯並びの関係については、こちらの記事でもご紹介しています。

 

 

ライター 後藤麻衣子

 

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Profile

yamatoya 設計士 兼 子育て研究員

市川 和明

インテリアデザイン学科を卒業後、2011年2月にyamatoyaに入社。家具の設計をメインに、工場の選定や量産管理なども担当する。子育て世代に寄り添った家具設計を目指すべく、2016年からはyamatoyaの「子育て研究員」として、子育て世代のライフデザインを探究。一児の父。