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magazineライターの「第三子、無痛分娩への道〈前編〉」

2023.06.14

「無痛分娩」。

日本でも少しずつ事例は増えているものの、まだまだ一般的とは言えない分娩方法です。
この記事では、yamatoya magazineで取材や記事作成を担当するコピーライターが、3人目の妊娠を機に無痛分娩に興味を持ち、実際に無痛分娩を体験した様子をレポートします。
妊娠期の前編、分娩時の後編の2つの記事でお届けします。

 

プロフィール
yamatoya magazineライター 後藤麻衣子

岐阜県岐阜市在住のコピーライター・編集者。LEGOマニアの長男(2016年生まれ)、砂場の砂を自宅に持ち帰るのが趣味の次男(2019年生まれ)、お兄ちゃんたちに可愛がられすぎる三男(2023年生まれ)の、賑やかな三兄弟の母。

 

***

 

私は2016年に長男を、2019年に次男を出産しました。
長男は、30時間以上の長い長い陣痛の末、入院の2日後に生まれてきてくれました。
分娩時は体力を消耗しすぎたのか、1〜2分の陣痛間隔で陣痛がおさまった瞬間に寝てしまい、激痛がやってきて起きて、痛みが去ってまた1分寝て…の繰り返しだったそうです(全然記憶にないですが立ち会った夫がそう言ってました)。

「二人目はもう少し早く生まれてくると思うよ」と、第二子妊娠時の担当の産科医に言われていましたが、早いとはいえ次男もたっぷり10時間ほどかかりました。
生まれてきてくれた瞬間の喜びや感動ももちろんありましたが、「ああ…やっと終わった…」「この痛みから解放される…」というのが正直な感想でしたし、長男に至っては記憶が飛び飛びで、産院で撮ってくれた動画を見ながら「こんなふうだったの…?」とびっくりしたほどです(笑)。

 

そんなとき、テレビドラマで無痛分娩の描写があり、陣痛の山が来ているにもかかわらず、名付けの話をしながら穏やかに赤ちゃんを迎えている様子を目の当たりにしました。

「こんなふうにニコニコ赤ちゃんを迎えられたら理想だなあ、生まれてきた時の喜びもひとしおなのでは…!」と憧れを感じていたところ、一緒に見ていた夫も「無痛分娩ってこんな感じなんだね。なんかすごい、全然違う!」と興味津々のようでした。

 

そんな矢先に、第三子の妊娠が発覚。

夫に「今回は、無痛分娩ができるクリニックを調べてみようと思うんだけど。分娩費用は余分にかかるけど」と相談すると、夫も無痛分娩を勧めようと思ってくれていたようで、一緒に無痛分娩について調べ始めました。
調べてみると、近隣に数軒、妊婦の希望による無痛分娩を実施しているクリニックが見つかったので、一番近いクリニックに「無痛分娩希望」と伝えて妊婦健診の予約をしました。
無痛分娩を担当してくれる産科医の先生から、無痛分娩について詳しく話を聞きました。

まずは、したくても「無痛分娩ができないケース」(例えば出血傾向や血液凝固障害、麻酔薬のアレルギーなど)があること、無痛分娩の方法や分娩中の過ごし方、追加費用、さらには無痛分娩により起こりえる副作用や合併症についても、計4枚ほどの資料に沿って詳しく、ひとつずつ説明をしていただけました。

無痛分娩、正しくは「硬膜外麻酔分娩」。今の日本で一般的に行われている麻酔分娩です。この分娩によって起こり得る副作用や合併症は、胎児心拍数の一時的な低下や分娩の遅延、麻酔による頭痛などの副作用などの話から、極めてまれなケースだけど重篤な合併症というのもあり、ひとつずつじっくり聞いていくと正直恐ろしいと感じるものも確かにありました。

でも「それを起こさないためのクリニック側の対策」や「起こる確率(かなり低い)」についても丁寧に話してもらえたので、不安半分、でも安心も半分という感じで家に持ち帰ることができ、夫にもそのまま伝えて「無痛分娩でいこう!」と決めました。

 

分娩費用は、私のクリニックの場合は通常の分娩費用に+10万円。

いろいろ調べてみましたが、地域差はあるものの、費用感はどのクリニックも同等というイメージでした(地方なのもあり、都心よりは安い印象)。

決して安い額ではないのですが「あの陣痛の痛みが和らぐなら、惜しくない金額」というのが私の感覚で、夫も同意してくれました。
両親や義両親に話すと「大丈夫なの?」と少し心配そうな顔をしていましたが、私たちが決めたことなので、と同意してくれました。

無痛分娩の同意書にサインをして分娩予約を申し込みました。

申込時には、助産師さんにも、産科の先生にも「三人目は分娩の進行がさらに速いから、分娩日前に陣痛が来ちゃったら麻酔が間に合わないかもしれないね」と言われました(経産婦の場合はよくあるそうです)。

分娩進行が思ったより早く、麻酔が間に合わない可能性があること、そして上の子たちの預け先を事前に確保しておくほうが安心できることなど、総合的に考えて「計画無痛分娩」を選択しました。
これは、無痛分娩を行う日をあらかじめ決めておくというもの。生まれる前に赤ちゃんの誕生日が決まってしまう(かもしれない)という不思議な感覚でしたが、入院日が決まっていると上の子たちの精神的ケアも、預け先の確保もしやすいので、計画無痛分娩にすることにしました。

 

後編では、いよいよ入院から無痛分娩、出産までをレポートします。

 

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後藤麻衣子

岐阜県岐阜市在住のコピーライター・編集者。LEGOマニアの長男(2016年生まれ)、砂場の砂を自宅に持ち帰るのが趣味の次男(2019年生まれ)、お兄ちゃんたちに可愛がられすぎる三男(2023年生まれ)の、賑やかな三兄弟の母。