#乳児 #幼児

毎日のキッズマッサージで、子どもの心を育む

2023.09.13

「ベビーマッサージ」とは、ママやパパが、子どもにしてあげるマッサージ、そのスキンシップのことを指します。各地で教室が開講されていて、目にしたことのある人も多いのではないでしょうか。

第一回の「心と体の発達につながる、ベビーマッサージ」に続いて、第二回はキッズマッサージについて深掘り。ベビーマッサージ・キッズマッサージインストラクターの黒柳若葉さんに、キッズマッサージについてお話をお聞きしました。

教えてくれたひと
保育士
ベビーマッサージ講師
黒柳 若葉さん

2017年・20年・21年生まれの、2才差3きょうだいの母。全員帝王切開で、第三子をリトルベビーで出産。NICU入院時に、ママやパパが赤ちゃんに触れることの大切さや効果を感じ、ベビーマッサージインストラクター、キッズマッサージインストラクター、育児セラピストを取得して活動を展開する。

お兄ちゃん・お姉ちゃんへの「キッズマッサージ」

ーベビーマッサージは何才くらいまで楽しめるんでしょう?

ベビーマッサージは赤ちゃんだけのものではなく、お兄ちゃん・お姉ちゃんも一緒にみんなで楽しめると思います。

三人目が乳児のころに、一度ベビーマッサージ教室にお姉ちゃんも連れて行ったことがあったんです。「上の子が騒いじゃって、ろくに参加できないかもしれないな」という覚悟で連れて行ったんですが、弟が裸になった瞬間に、お姉ちゃんも自ら服を脱ぎ出して。されるがままに寝転んでニコニコして「わたしもさわって!」と言わんばかりに。

まさに、お姉ちゃんの心の気持ちが体に現れてる、という感じでした。そのときに私もやっと「きっとお姉ちゃんも、触れて欲しかったんだな」「こういう時間が欲しかったんだ」と気づきました。

ーベビーマッサージは、小さな赤ちゃんだけのもの、というイメージがあったんですが、そういう話を聞くと、いくつになってもやってあげたいと思えますね。

そうなんです。

私は「キッズマッサージ」に関する資格も持っているんですが、私が所属する協会では、0才の子へのマッサージを「ベビーマッサージ」、1〜6才の子へのマッサージを「キッズマッサージ」と呼んでいます。

 

ー幼児さんにもしてあげられるマッサージがあるんですね。日常に取り入れられる、簡単なキッズマッサージは何かありますか?

いろいろあります。

例えば、楽しい連休明けで、月曜の朝に登園・登校を渋っちゃったときに、肩を両手で優しく撫で下ろしながら送り出してあげるとか、「きいて、きいて!」とお話をしてくれるときに、体を撫でてあげながら聞く、とか。もしかしたら、多くのママやパパが自然としてあげていることも多いかもしれません。

いつもの関わりの中で「触れる」ことに意識するだけで、子ども自身も「受け入れられている」という気持ちになれるので、どんどんしてあげてほしいです。

 

ーキッズマッサージで、黒柳さんが普段気をつけていることはありますか。

優しいタッチ、優しい口調にするように気をつけています。

名前を呼んであげることも大事ですね。

あとは「大好きだよ」「かわいいね」とちゃんと声に出して伝えることで、「自分は大事にされている」と感じてほしいなと思って声かけをしています。

名前を呼んで、触れたり撫でたりしながら関わることは、子どもの自己肯定感を上げるのにもつながりますし、お友達や年下の小さな子に触れるときの手つきが、自然と優しくなったりもします。

あとは、お兄ちゃん・お姉ちゃんたちがマッサージの存在を知ることで、「マッサージをしてもらって気持ちいい」だけじゃなく、セルフマッサージもできるようになるんですよね。

ーセルフマッサージ?

元気づけとか勇気づけの意味で服の上から自分の体を触ってみたり。自分の情緒をコントロールするために、自分の胸を撫で下ろしたり、というのもそれに当たります。

「こうすれば自分の心が落ち着く」ということを知っているだけで、自分で感情のコントロールができたり、自分で自分を勇気づけたりすることができます。ポジティブな気持ちで一日をスタートできたりもします。

情緒面のサポートという意味でも、ベビーもキッズも関係なく、体に触れるということは本当に素敵だなと思っています。

 

ーセルフマッサージ、素敵ですね。具体的にはどんなマッサージができますか?

セルフマッサージは、自分で胸を撫で下ろして落ち着かせるとか、疲れてきたなと思ったら座って、足の指をくるくる回して、はじくようにしたり。そんな簡単なもので大丈夫です。

自分の体に興味を持って触れることで、心や体の疲れを自分で取り除ける、そんな効果もあると感じています。

 

親などに触ってもらうのももちろん良いのですが、自分で自分の体に触れて、自分の心の声を聞くような習慣ができると、心や体の状態をセルフコントロールできるようになる、そのきっかけにもなると思います。

 

パパの大きな手で、子どもの心を落ち着かせる

ー家族みんなで、ベビーマッサージを自分にも家族にもしてあげられるのは、とてもいいですね。

パパのマッサージも、とてもいいですよ。

仕事を終えたパパが帰宅する時間が、寝かしつけの時間にかぶってしまう、というお家は多いと思います。我が家もそうなんですが、だいたいそのタイミングでのパパの帰宅って、子どもたちのテンションを上げてしまって眠れなくなってしまうこと、多いんですよね。

 

我が家は、パパもベビーマッサージ・キッズマッサージを知っていてくれるので、そういうタイミングでパパがマッサージをすることも多いです。

パパが知っていてくれることで、子どもたちのテンションを上げるだけじゃなくって、パパの大きな手によって子どもたちを安心させてあげられるし、入眠モードにしてあげることもできるんです。

親として、家族の一員として、とても良い役割だなと私自身感じていますし、どうしても子育てのタスクが偏りがちなママの負担軽減につながると思うんですよね。

 

ベビーマッサージやキッズマッサージは、子育てに余裕のあるお母さんがやってる、みたいなイメージがある人も多いですが、私は「ママたちの“ラク”につなげてほしい」といつも思っています。

***

 

赤ちゃんだけではなく、お兄ちゃん・お姉ちゃんにとっても、マッサージは心の安定になることがとてもよくわかりました。

次回は最終回。今すぐに始められる、簡単なマッサージの方法についてお聞きします。

 

前回の記事はこちら
心と体の発達につながる、ベビーマッサージ

 

ライター 後藤麻衣子

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Profile

ベビーマッサージ講師

黒柳 若葉

保育士。2017年・20年・21年生まれの、2才差3きょうだいの母。全員帝王切開で、第三子をリトルベビーで出産。NICU入院時に、ママやパパが赤ちゃんに触れることの大切さや効果を感じ、ベビーマッサージインストラクター、育児セラピストを取得して活動を展開する。