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整理収納教育士に訊く!子どものおもちゃや作品収納、どうしてる?

2023.12.06

子どもが成長するにしたがって、どんどん増えていくおもちゃたち。収納場所に収まりきらなかったり、片付けが追い付かなくてずっと散らかったままだったり…。

子どものものをどう収納すればいいのか、悩んでいるママやパパが多いのではないでしょうか。

そんな悩みを抱えたyamatoyaママスタッフが、このたび「整理収納教育士」という資格を取得。子どもに片付けの習慣をつけるための工夫や、収納のコツ、さらにこの資格についてもいろいろ聞いてみました。

教えてくれたひと
yamatoyaスタッフ 整理収納教育士
奥田恵利子

2009年に株式会社大和屋に入社。2018年に長男を出産。2022年に長女を出産し、育児休業中に「整理収納教育士」を取得。現在は職場復帰。なんでも工作の材料にしてしまう長男、兄の変顔にいつも大爆笑の長女の2児の子育てに奮闘しながら、広報部のスタッフとして活動中。

 

おもちゃや作品で溢れかえる部屋に危機感

ーそもそも、整理収納教育士とはどんな資格ですか?

「散らかってるから片づけなさい!」と言われただけで、素直に工夫して片付けられる子はいませんよね。まずは子どもが片付けやすい環境を整え、丁寧に教えながら、徐々にステップを踏んで「収納」を教えていくことが必要です。

片付けたいと思っていても片づけられない大人が多いように、子どもにとってもそれは容易いことではありません。そこにはコツやポイントがいくつかあります。「整理収納教育士」とは、整理収納の知識と技術を伝え、片付けやすい環境を作るプロと言えると思います。

私は整理収納教育士として、教育に携わる人、子育てに奮闘する人に、その大切さを伝えられたらいいな、と思って取得しました。整理収納教育士は、整理収納教育を通じて親と子の思いをつなぐ役割も担っている資格だと思います。

 

―どうして整理収納教育士の資格を取ろうと思ったのですか?

資格に挑戦しようと思ったのは、2人目の出産を控えていたころです。

家に長男しかいないときは、片付ける時間や余裕がないとリビングにおもちゃが散乱していても「仕方ないか…」と諦めている自分がいました。
でも、赤ちゃんが生まれるとなると話は違います。動き回る赤ちゃんが小さな部品を誤飲したり、散乱したおもちゃで怪我をしたりする危険が高まります。
「これは今まで以上にきちんと片付けておかないといけないな」と、真剣に考えるようになりました。

下の子が生まれたとき、お兄ちゃんは4才。ブロック遊びが大好きで、細かいおもちゃが増えてきたころでした。

大量のおもちゃに加えて、赤ちゃんの頃から大好きな絵本や、空き箱などでつくった作品、さらにはレストランのお子様ランチについてくるおもちゃなどがどんどん増えてきて、リビングはもので溢れかえっていました。押し入れなどの収納は多めにある家なので、あふれたものはそこにとりあえず押し込んでいた時期もありましたが、「そろそろやばいな…」と危機感を抱いたのがきっかけです。

子どもと一緒に「残す」「さよならする」

ー整理収納教育士の資格には「教育」という言葉がありますが、収納と教育はどのようなつながりがあるんでしょうか。

そもそも「整理」というのは「必要・不必要を区別し、不必要なモノを取り除くこと」です。これは、この資格とパートナーシップを結んでいるNPO法人「ハウスキーピング協会」の資格にある「整理収納アドバイザー」でも、同じことを言っています。

整理収納教育では、子ども自身が自分で「必要」「不必要」の区別をつけ、自分で必要なモノを選び、整理するスキルを身に付けるためにアドバイス・教育をする、そのための「教育士」です。

たとえば、子どもが遊んでいないおもちゃを取り出して「これってまだいる?」と聞いてみても、すべてに「いる!」と答えたり、うまく気持ちが表せないことって、ありますよね。子どもが捨てたくないと言うから…と取っておくと、おもちゃ箱が溢れてしまいます。

 

―確かに。全部「いる!」と言われるので、こっそり捨てたり隠したりしてしまおう…となってしまいます(笑)。奥田さんは、具体的にどんな「整理収納教育」をしているんですか。

5才の長男は、空き箱で工作をするのが好きで、どんどん作り続けるので作品がたまっていくのですが、増えてきたら、子どもと向き合ってひとつずつ「残す」「さよならする」の判断をしています。もう一度作れそうなものは捨てて、上手く作れてそのあとも遊ぶ予定のあるものは保管する、という感じです。

この選別にかなり時間がかかるので、親がパパッと判断して勝手に処分したいところですが、なるべく一緒に行います。

 

―すごい!「さよならする」は、なかなかできませんよね。

実際は、親が捨てたいと思っていた大きな作品がずっと残っていたり、意外と「さよならする」が上手くできなくてたくさん残ってしまったりと、思い通りにいかないことも多いですね。

そんなときは、「この前作ったあの車、床に置きっぱなしで悲しそうだよ」と擬人化して伝えてみたり、「さよならしたら、また違うかっこいいものが作れるかもしれないよ」と、次の楽しいことを提案してみたりします。

子どもの判断力を育み、自立を促すきっかけに

 ―子どもに捨てるものを決めさせるのって、時間がかかって大変じゃないですか?

確かに時間はかかります。でも実は、子どもに判断させることって、子どもの人生において、とても大切なことです。

例えば、今の世の中は情報にあふれていて、テレビやネットで抱えきれないほどの情報が一度に入りますよね。これほどまでに情報過多な時代を生きていくためには、本当に必要なものを自分で選び取る力が必要です。必要なものを選び抜き、不必要なものは捨てて、うまく管理・整理していかないと、せっかくの有益な情報を活かすことができません。

「得た情報の重要度を自己判断する力」が、この情報社会を生き抜くために必要だと思います。私は、整理収納教育を通して、この「選び取る力」が、その訓練になるのではないかと考えています。物事に優先順位をつけ、自分で決断することが、自分で考えて判断できる自立力を備えていくことにつながるのではないでしょうか。

小さな子どもがその力を身につけることはとても難しいですが、大人が手助けしてあげられれば、「やってみる」「挑戦してみる」ということならできるはずです。仕事と日々の家事・子育ての中で、それをする時間を作るのは大変ですが、可能な限り子どもと一緒にできたら、と思ってコツコツと頑張っています。

 

***

 

全て親がやってしまうのが簡単ですが、時間がかかっても子どもと一緒に、子ども自身が必要なものを選び、判断をしていくことで、つく力がきっとあります。
子どもの判断力や自立心を養いながら、すっきりキレイな状態を目指していく、その過程も大切にしながら、工夫して過ごしていけたら理想ですね。

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