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家族の家具のこと、もっと話そう「すくすくチェアGL&スリム-J」編

2024.04.17

yamatoyaの商品開発について、開発メンバーにインタビューする「家族の家具のこと、もっと話そう」シリーズ。
今回は、この春モデルチェンジとなった、yamatoyaのロングセラー「すくすくチェア」についてのお話です。
リニューアル開発を担当した、yamatoyaの製品開発チームのみなさんにお話をお聞きしました。

お話を聞いたひと
yamatoya 企画開発部のみなさん

ベビーベッドやベビーチェアをはじめ、yamatoyaの製品の企画・デザインはもちろん、製品開発や量産管理など、製造にかかわるさまざまなセクターを担当する、企画開発部のメンバー。左から、根兵さん、松脇さん、伊吹さん。

 

25年目のすくすくチェア、9回目のモデルチェンジ!

ー今回、すくすくチェアのモデルチェンジに至った経緯を教えてください。

すくすくチェアは2000年に発売を開始し、一昨年に累計100万台を突破したロングセラー商品です。
日本のみならず海外でも、100万人、それ以上の子どもたちが座ってくれている、yamatoyaの顔ともいえるベビーチェアで、これまで8回のモデルチェンジを繰り返してきました。
通算9回目となる今回は、すくすくの基本コンセプトはしっかり守ったまま、「今の時代に合わせたアップデートをしたい」というのが出発点でした。

さらに、現在日本だけでなく海外の方にもたくさん使っていただいているので、さらにもっと広く、たくさんの国へ販路を広げたいという、企業としてのビジョンもあります。
世界中の子どもたちに使ってもらえるような、グローバルスタンダードのすくすくチェアを目指した、そんなモデルチェンジともいえると思います。

今回は、グローバル規格にも準拠したモデルへアップデートした「すくすくチェア GL」、そして現行のスリムプラスから進化した「すくすくチェア スリム-J」の2モデルで、国内はもちろん、海外での展開も視野に入れた開発がスタートしました。

家族の距離感を、もっと近くするベビーチェアへ

ー具体的に、どんな点が旧モデルと大きく違うのでしょうか。

旧モデルと新モデルを並べるとわかるんですが、チェア全体の高さが変わりました。
新モデルの方が、少し高くなっています。
この設計変更は「家族の距離感をもっと縮めたい」というのが一番の理由です。

月齢の低い赤ちゃんは特に、ベビーチェアのテーブルを利用することが多いと思います。
でも専用テーブルを出した状態だと、ダイニングテーブルと干渉してしまい、赤ちゃんとママパパの距離が遠くなってしまいがちです。

また、以前からyamatoyaとして「足裏をぴったりつけて座る」という姿勢の大切さ、そして「親子の目線を合わせて、前を向いて食べる」といった食事時のコミュニケーションの重要性を、ベビーチェアを通じて発信・提案しています。
こうした観点からも、ママやパパはできるだけ正面から、そして赤ちゃんに近い距離で食べさせてあげることが好ましいと考えます。

今回のモデルチェンジにあたり、これらを叶えるためには「ベビーチェアのテーブルが、ダイニングテーブルの上に乗り上げられる状態」というのが、距離感を近くするためにベストな状態だと考えました。

そこで、現代の一般的なダイニングテーブルの高さを調査し、すくすくチェアのテーブルとダイニングテーブルがぶつからない高さ設計(*1)に見直しました。
これにより、子どもとの距離がぐっと近づくので、近い距離で、目線を合わせて食べさせてあげることができると思います。

*1 ダイニングテーブルの高さ70cmまで。ダイニングテーブルの種類や形状により、干渉する場合もあります

使用商品:すくすくチェア GL ホワイトウォッシュ

 

「GL」と「スリム-J」それぞれ異なるガード構造

ー新しい「GL」と「スリム-J」、それぞれの違いやリニューアルポイントについても教えてください。

すくすくチェアはこれまでも、スタンダードモデルとスリムモデル、幅の異なる2モデル展開でした。
「幅の異なる2モデル」というのは以前と変わらず、赤ちゃんはもちろん大人も座れる「すくすくチェア GL」と、幅が6cmスリムで10才頃まで使える「すくすくチェア スリム-J」として、それぞれアップデートして生まれ変わりました。

旧モデルと大きく異なるのは、赤ちゃんを守る「ガード」の構造です。

スリム-Jは、これまでのすくすくチェアと同様に、木製のT字ガードがついています。
T字ガードは、お掃除のしやすさや座らせやすさなど、たくさんのユーザーさんから支持していただいている人気の仕様で、これまでのすくすくモデルを踏襲しているのがスリム-Jといえます。

使用商品:すくすくチェア スリム-J ブルーウォッシュ

一方GLは、今回からガードの構造が変更となり、端まで覆われた「ガード」とそれに取り付ける「ベルト」の組み合わせとなりました。

ベルトは、yamatoyaのほかのベビーチェアラインナップでも採用しているPUレザーのベルトですが、今回から新たにグレー系カラーを採用しています。どんな本体カラーにも馴染む、シンプルでスタイリッシュな印象です。
このガード構造の変更により、GLは、日本のSG基準はもちろん、ヨーロッパの「EN基準」もクリア(*2)したグローバル設計のベビーチェアに進化しました。

使用商品:すくすくチェア GL ナチュラル

あとはとても細かいことなのですが、足まわりのデザインや安全面もアップデートしています。
脚のフレームも少し太くし、さらに横木の位置を高めにしたことで、より一層安定感が増しました。
また、一般的なお掃除ロボットが下をくぐれるよう、足元のデザインも変わりました。下側の丸棒の位置を見直し、少し高くしています。

それ以外にも、テーブルのかんたんロックのノブがひと回り大きく、手に馴染む形状になったことで使いやすくなった点、足置き板の広さや奥行きの可動域の拡大、座面の形状変更、安定性の向上など、すくすくチェアの良さをさらに感じていただけるようなマイナーリニューアルもたくさん詰め込んでいます。

*2 セーフティーベルト取り付け時

 

ーそして今回、カラーバリエーション、オプション品なども変わったんですね。

はい。
木材は引き続き、インドネシア認証の天然ゴムの木をリサイクル使用していますが、カラーは新たなバリエーションが登場し、また今までとは違う印象になったと思います。
今回はナチュラルやブラウン系のほか、グレー、ブルーウォッシュ、ホワイトウォッシュの全6色で、インスピレーションとしては、天然染料などの自然由来のカラーリングを彷彿させる色調です。
開発時は、検討しているカラーを実際の素材に塗ったもの、塗り方の異なる試作をいくつも並べて、開発チーム内だけでなくいろんな人を巻き込んで、何度も検討を重ねて決めました。
旧モデルの鮮やかなグリーンやレッドからまたガラッと印象が変わり、現代のシンプルめなインテリアにもなじみやすい、やさしい色合いになったと思います。

さまざまな候補の中から採用されたのは、インテリアになじむ左の6カラー。

さらに今回、オプションのチェアクッションのデザインも一新しました。
撥水加工でお手入れしやすいコットン100%のクッションで、フランスのテキスタイルデザイナー、Veronique Petit氏による新デザインを、yamatoyaオリジナルカラーで採用しました。
旧モデルは背板と座板のクッションが繋がった一体モデルでしたが、今回はセパレートスタイルになったので、よりお手入れがしやすくなりました。

もうひとつ、オプション品でリニューアルしたのは、テーブルカバーです。
シリコン製なのは前回同様ですが、裏側につながるベルトでしっかり固定できるようになったので、カバーをしたままテーブルを後ろにまわせるようになり、使い勝手が良くなったと思います。

“すくすくチェアらしさ”を大切に、さらなる進化へ

ーたくさんの改良を詰め込んだ9回目のモデルチェンジでしたが、これまでの開発を振り返ってみていかがですか。

1年以上の構想・開発を経て、今回のモデルが完成しました。
開発当初は、いくつかのデザイン案の中から案をしぼりながら、原寸で試作品を何度もつくって、細部まで検討を重ねました。
デザインの良し悪しだけでなく、安全性の検査も同時に進めながら、安全性と意匠性のバランスの良いデザインを導き出してきました。

部分的にアップデートしたいところを洗い出しつつ、でもこれまでとまったく異なる印象のチェアになるのは違うので、やはり24年間愛されてきた“すくすくチェアらしさ”は失わないようにしたところが、難しかったところであり、面白く奥深いところでした。

開発チーム内で、何ヶ月もかけて「すくすくチェアとは?」という根本的なところから話し合いを重ねて、僕たちとしても改めて“すくすくチェアらしさ”を再認識できた、そんなモデルチェンジになったと思います。

椅子はどこまでいっても椅子なので、大きく形を変えることはありませんが、それでも時代に合わせて進化、そして深化していくことはできると思います。
今回は、まさに今の生活スタイルを意識したモデルチェンジで、お客様にとってさらに生活しやすく、子育てしやすくなることを願って、チーム一同、時間と想いを注ぎ込んで開発してきました。

僕たちが“すくすくチェアとは?”を問いかけ合いながら、家族の食卓を想いながらつくった、そんな思い入れのあるチェアなので、たくさんのご家族に使っていただけたら嬉しいですし、発売されてからの反響が、今からとても楽しみです。

 

***

 

今回の「すくすくチェア」のモデルチェンジに合わせて、開発秘話をたくさん聞かせていただきました。
ここに載せきれなかった細かなこだわりもたくさんありました。ぜひ実物に触れて、作り手の思いを感じてもらいたいです。

企画開発部のみなさん、ありがとうございました。

 

ライター 後藤麻衣子



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