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管理栄養士さんに訊く離乳食Q&A vol.3「栄養バランスの考えかた」

2023.02.08

悩みの尽きない子育て。

たくさんのママ・パパが抱えている大きな悩みのひとつが、「離乳食がうまく進まない」「食べない」という食事問題ではないでしょうか。

今回は、保育園で離乳食や幼児食の献立や調理を担当している管理栄養士のユキさんに、そんな離乳食の悩みについていろいろ質問してみました。

万能な解決策などない、正解のない難しい問題ですが「子育てを経験したひとりの親として、ひとつでも参考になれば…」と、インタビューに応じてくださいました。

 

教えてくれたひと
管理栄養士 ユキさん

管理栄養士、栄養士、介護食アドバイザー。大学を卒業後、高齢者施設で管理栄養士として勤務したのち、保育園へ転職し、園内の給食室にて乳・幼児食を担当。現在は保育園で離乳食を担当。2児の母。

 

なかなか進まない食材があったとき、どうする?

ー初期から中期、後期と食べられるものが増えてくると、好き嫌いも出てきますよね

赤ちゃんの食べムラはなんともならないのが正直なところ。

食材によって味も食感も香りも違いますし、下触りも全然違うので、好き嫌いは出てくるのが自然だと思います。

いろいろな食材をあれこれ試してみるというのはとても大事です。たくさんの食材を経験することは、後々の味覚の形成に、重要な役割を果たすとも言われています。

「前にほうれん草を全然食べなかったから」と、その後、葉っぱ系のお野菜を全く出さないのではなく、間隔をあけてまた出してみることをおすすめします。

一度食べないと次に準備するのが億劫になると思うのですが、くじけずに何度もチャレンジしてみてください。

忘れたころに、意外とすんなり食べてくれるかもしれません。

 

ーなかなか進まない食材は、調理法を変えるのも有効ですか?

そうですね。

たとえば「食べやすくしよう」と思ってしっかり潰してみたものの、実はその食感が気に入らなかった、ということも考えられます。

同じ食材でも、調理法や形状を変えて試してみると良いと思いますよ。

大人だって、「昔は食べれなかったけど、最近食べられるようになった」という食材ってたくさんありますよね。

その時に食べないからと言って「ずっと食べないはず」と決めつけてしまうのはもったいないな、と私は思います。

とは言え「絶対に6ヶ月のうちにニンジンを食べさせる…!」と無理な目標を立ててこだわりすぎるのも、ママやパパのメンタルが持たないので、そこは別の野菜で補完して、また忘れた頃にあげてみる、という感じで良いと思いますよ。

荒くすり潰したり、主食と混ぜてみたり、アレンジ方法はさまざま。

3つの栄養素を意識するだけで100点満点!

ー栄養バランスのことを考えると、なんとか食べさせたい!と思ってしまいがちです。

日々の食事の栄養バランスについてはあまり難しく考えすぎず、ざっくりと3つの栄養素を取れていれば大丈夫かなと思います。

エネルギーとなる「炭水化物」は、ご飯やパンなど。

体の調子を整える「ビタミン・ミネラル」は主に野菜から。

体をつくる「タンパク質」は肉や魚、卵など。

たとえば、魚が苦手な子なら、なんとしてでも魚を食べさせる!ではなく、魚の代わりにお豆腐や乳製品を食べればOK、という感じ。野菜がなかなか進まないなら、果物で補完してあげるのもいいですね。

この3つの栄養素をざっくり把握して、同じ仲間で食べられそうなもので補っていければ十分だと、私は思います。

 

ー最後にもうひとつ、市販の離乳食については、ユキさんはどのように思っていますか。

実際、私が子育てしていたときも、外出先で食べるのに重宝しましたね。

でも、市販のベビーフードってすごく美味しいので「手作りしたものより市販のベビーフードの方がよく食べる」なんて話も聞きますね。

とても食べやすい味や形状にしてあるので、選択肢のひとつとしては良いですし、レバーなどの調理が大変なもの、なかなか取れない栄養素などはベビーフードで補うのもひとつの手です。

でも食事の100%を全てベビーフードで完結してしまうより、取り分けた料理を家族と一緒に食べることもとても良いことなので、そこはバランスを見ながら使い分けたいところ。

ベビーフードは、外出時や、食べムラがひどいときの救世主であるのは間違いないんですが、全部それに頼り切ってしまうのは良くないかな、というのが私の見解です。

いつもの離乳食にひとつベビーフードを足してみるとか、そういう使い方ができると良いんじゃないでしょうか。

これもいろんな考えがあるので、正解もないし正しい結論はありませんが、ママやパパが少しでも余裕を持って食事の時間を楽しむために使ってもらえたら良いんじゃないかなと思います。

 

***

 

なんとしても食べさせなきゃ…!と気負うよりも、3つの栄養素の仲間で補っていけばいいんですね。

次回は、後期〜完了期の「手づかみ食べ」についてお聞きします。vol.4の公開をお楽しみに!



これまでの記事

管理栄養士さんに訊く離乳食Q&A vol.1「離乳食をはじめる前に」

管理栄養士さんに訊く離乳食Q&A vol.2「離乳食開始のタイミング」

 

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Profile

管理栄養士

ユキ

管理栄養士、栄養士、介護食アドバイザー。大学を卒業後、高齢者施設で管理栄養士として勤務したのち、保育園へ転職し、園内の給食室にて乳・幼児食を担当。現在は保育園で離乳食を担当。2児の母。