妊娠中や子育て中のママにつきまとう、肩こりの悩み。授乳や抱っこでバキバキになった背中や肩に、思わずため息をついてしまうことも多いですよね。
今回は、看護師・保健師であり産後指導士の岩井未愛さんに、肩こりが起きる原因や、正しい姿勢の作り方、そして育児の合間にサッとできちゃう簡単な「ながらケア」についてお聞きしました。
「赤ちゃんのためだから…」と無理を重ねてしまう前に、まずは自分の体を知り、日常の中で少しずつ労わる習慣を見つけてみませんか。
2026.09.16
妊娠中や子育て中のママにつきまとう、肩こりの悩み。授乳や抱っこでバキバキになった背中や肩に、思わずため息をついてしまうことも多いですよね。
今回は、看護師・保健師であり産後指導士の岩井未愛さんに、肩こりが起きる原因や、正しい姿勢の作り方、そして育児の合間にサッとできちゃう簡単な「ながらケア」についてお聞きしました。
「赤ちゃんのためだから…」と無理を重ねてしまう前に、まずは自分の体を知り、日常の中で少しずつ労わる習慣を見つけてみませんか。
《教えてくれた人》
ー妊娠中や子育て中の悩みのひとつに、「肩こり」や「むくみ」がありますが、なぜ起こりやすいのでしょうか?
そもそも肩こりはなぜ起きるのか、その大きな原因として、ずっと同じ姿勢でいることで、背中や肩周りの筋肉が硬くガチガチになってしまうことが挙げられます。
ママは、授乳や抱っこ、ミルクをあげる時など、どうしても長時間同じ姿勢でいることが多いですよね。
赤ちゃんのお世話をしているとどうしても前かがみになり、重たい頭が前に出てしまいます。頭が前に出るほど、それを支える首や肩の筋肉には大きな負担がかかります。その状態が長時間続くことで、首や肩が疲れ、肩こりにつながってしまうんです。
ー抱っこの重さだけでなく、前かがみなど「姿勢が崩れてしまうこと」が大きく影響しているんですね。
あとは、運動不足も大きく影響しています。
本来は肩周りを動かして筋肉をほぐせば肩こりは解消しやすいのですが、忙しいママはなかなかそんな時間を持てませんよね。
ほかにも、慣れない育児への緊張感から無意識のうちに肩に力が入ってしまったり、環境の変化によるストレスで筋肉が硬くなりやすかったりもします。そこに睡眠不足や疲労が重なると、さらに悪循環に。もちろん、ホルモンバランスの変化も影響してきます。
ー育児中のママの生活は、まさに「肩こりが起きるべくして起きている」状態なんですね。
そうなんです。だからこそ、まずは「正しい姿勢」を知っていただきたいなと思います。
正しい姿勢かどうかを確かめる、簡単なチェック方法があります。
壁を背にして立ち、「後頭部」「背中の肩甲骨」「お尻の仙骨」を壁にピシッとつけてみてください。このとき、腰と壁の隙間に「手のひら1枚分」が入るくらいが、ちょうどいい正しい姿勢です。
育児中は前かがみの猫背になりやすいですし、妊娠中はお腹が大きくなるため「反り腰」になりやすい傾向があります。
反り腰だと、腰と壁の間に手のひらが2枚分くらい入ってしまったり、肩が前に出てしまったりする方も多いんです。
まずはご自宅の壁に背中をつけてみて、今の自分の姿勢がどうなっているか、状態をチェックしてみることから始めてみてください。
ーなるほど。肩こりに悩んでいるからといってマッサージなどで「肩をなんとかする」だけではなく、まずは正しい姿勢を意識することが大事なんですね。
まずは「自分の正しい姿勢」を知っておくことが、体をラクにする近道です。
特に妊娠中の方はどうしても反り腰になりやすいので仕方ない部分もあるのですが、一度壁でチェックしてみて、「自分は結構反っているんだな」と自覚することが大事なんです。
常に正しい姿勢を保つのは難しいですが、できる範囲で反り腰を直してみようと意識するだけでも違います。肩こりだけでなく、腰痛の軽減にもつながってくると思いますよ。
ただ、正しい姿勢は大切ですが、ずっとその姿勢をキープしていると、結局は筋肉が疲れてしまいます。正しい姿勢を知って意識しつつ、「さらにそこから動かす」ということが、肩こり解消には重要です。
ー授乳中など、日常で意識できることはありますか。
授乳のときも、小さな赤ちゃんを抱っこして、自分からおっぱいを赤ちゃんの口に近づけようと、前かがみになって覗き込むような姿勢になりがちです。
でも、それを毎日繰り返していては、ママの体が悲鳴をあげてしまいます。
授乳の際は、「ママの正しい姿勢のところに赤ちゃんを持ってくる」ということを意識してみてください。
授乳クッションをいくつか重ねたり、椅子の座り方を工夫したりして、自分がいい姿勢を保てる位置まで赤ちゃんを連れてくるんです。
おむつ替えも同じです。
意外と腰を深く曲げるような無理な姿勢で、毎回おむつを替えている方も多いのではないでしょうか。
ベビーベッドや台の高さを調整して、自分の体を曲げるのではなく、姿勢を崩さなくてもできるように環境を工夫してみると、意外とラクになったりもします。
そうやって、できる限り「正しい姿勢を意識する習慣」が、肩こりや腰痛の解消につながっていきます。
ー確かに。特に初めての育児だと、何から何まで赤ちゃんに合わせに行っちゃいますよね。抱っこも緊張して肩がこわばったり、ずっと覗き込むような姿勢で授乳を重ねて、すっかり疲れてしまったり……。身に覚えがあります。
私も、出産した産院で助産師さんに「授乳クッションを2つ使っていいから、自分が楽な姿勢を見つけて」と言われて、ハッとしました。
それに、肩こりが解消して血流が良くなると、実はおっぱいの出も良くなることが多いんです。つまり、ママが楽な姿勢を意識することは、結果的に赤ちゃんのためにもつながります。
育児中だけでなく、スマホを見るときの位置を目線の高さまで上げる、というのも、すぐにできる肩こり解消法のひとつですね。
ーなるほど!赤ちゃんにとってもいいことだらけですね。
ママが自分の体をケアすることは、めぐりめぐって赤ちゃんのためにもつながっているんですよね。
ーでは、日常で実際にできるケア方法にはどんなものがありますか。
まず意識してほしいのが、「血流を良くすること」です。おっぱいの出を良くするためにも効果的な、簡単なマッサージからご紹介しますね。
脇の下にはリンパがたくさん集まっているので、ここをマッサージするだけでもとても効果的です。背中側の方までしっかり手を入れて、ほぐしてみてください。

肩こりがひどい方は最初少し痛むかもしれないので、無理をせず「痛気持ちいい」と感じる強さで行うのがポイントです。
ちょっとした隙間時間にサッとできますよ。
もうひとつは、肩周りの筋肉を動かすケア。
手を両肩の上に置いて、肘で大きな円を描くようにぐるぐると回します。

背中の大きな筋肉を動かしてあげることが肩こり解消につながるので、赤ちゃんを見守っている合間などに試してみてください。
ポイントは、肘がしっかり天井を向くように上に引き上げること。「20回を3セット」が目安ですが、無理のない範囲で構いません。
ーどれも道具がいらず、思い立ったときにすぐ試せそうですね。
さらにもうひとつ、赤ちゃんを抱っこしたままでもできる「首周りのストレッチ」もおすすめです。
育児中のママは赤ちゃんを見つめている時間が長く、どうしても下ばかり向きがちで、上を向くことってなかなかないんです。
なので、頭を大きくゆっくり回して、こわばった筋肉をほぐしていきましょう。

このとき、特に「上を向く」ことを意識しながら、横の首筋を気持ちよく伸ばしてあげてください。首の大きな筋肉を動かすことで、血流がスーッと良くなっていきます。こちらも20回を目安に行ってみてください。
また、こうしたストレッチをするときは「深呼吸」もセットで行うのが大切です。基本の呼吸法として、鼻から息を吸って、口からふーっと大きく吐くことを意識してくださいね。
ーこれだったら、本当に赤ちゃんを抱っこしたり授乳したりしながらでもできますね!わざわざストレッチの時間を確保するのは難しいですが、隙間時間でできるのはありがたいです。
肩こりがひどいときにマッサージを受けるのもリフレッシュになってもちろん良いのですが、それだと一時的に筋肉がほぐれるだけでまた元に戻ってしまうことも多いんです。
だからこそ、日常の中で無理なくストレッチを続けて習慣にしていくことが、肩こりの根本的な解消につながっていくと思います。
ぜひ、できることから取り入れてみてくださいね。
***
「肩こりが解消すると、おっぱいの出も良くなる」。
ママが自分の体をケアすることは、決して自分のためだけでなく、めぐりめぐって赤ちゃんのためにもつながっているんですね。
まずは壁に背中を当てて、今の自分の姿勢を知ることから。そして、授乳や抱っこの合間に、少しだけ上を向いて深呼吸をしてみてください。
ほんの少しの「ながらケア」を習慣にして、毎日がんばる自分の体をもっと優しく労わってあげてくださいね。
次回は、特に妊娠中の悩みとして多い「むくみ」についてお聞きします。お楽しみに!
ライター 後藤麻衣子
わたしたちは、子ども家具メーカー「yamatoya」です。
子ども家具をつくってきた歴史は、
子育て情報蓄積の歴史でもあります。
リアルな体験や役立つお話を
全国の子育て世代のみなさんと
共有したいと思っています。
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