2026.10.21

看護師が解説!妊娠中・産後の「むくみ」対策&簡単「ながらケア」

妊娠中や産後、多くのママを悩ませる「むくみ」。
夕方になると靴下が食い込んだり、足が重だるくてつらかったり……。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。

「ながらケア」後編となる今回は、前回に引き続き看護師・保健師であり産後指導士の岩井未愛さんに、むくみが起こる仕組みや、忙しい日常の中でも無理なくできる「足元の簡単ケア」についてお聞きします。

激しい運動や特別な時間は必要ありません。
「ながらケア」で身体を整え、ご機嫌な毎日を取り戻しましょう!

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岩井 未愛

岩井 未愛さん

《教えてくれた人》

看護師・保健師・一般社団法人体力メンテナンス協会認定 産後指導士
現役の看護師として働きながら、産後指導士としても活動中。自身の育休中、漠然とした不安を抱える中で児童館のバランスボールに出会い、身体の不調改善とともに心も前向きになる変化を体験する。その経験から資格を取得し、現在は「育児がもっと楽しくなる」知識や身体の使い方、夫婦のコミュニケーション術などを発信。「親としてだけでなく、”私”の人生も楽しむ!」をテーマに、ママたちがご機嫌な”私”でいられるためのヒントを届けている。これまでの講座実績は、名古屋市内児童館等講座、PTA講座、産後ケア講座、企業様向け健康セミナー等。一般社団法人体力メンテナンス協会認定バランスボールインストラクター。instagram: @mie.balanceball

むくみの原因は「水分不足」と「筋肉のフリーズ」?

ー前編の「肩こり」編に続いて、ママたちが悩む「むくみ」についても教えてください。

むくみというのは、体内の水分や老廃物がうまく流れずに滞ってしまう状態のこと。原因は様々ですが、肩こりと同じように「長時間同じ姿勢が続くこと」や「冷え」「運動不足」などが大きく関係しています。
この滞りを整える主役となるのが、「リンパ」と「水分」です。

 

ーリンパの流れを良くすることが、むくみ解消につながるんですね。

はい。リンパは、体の中の“排水管”のような役割を果たしています。細胞の間にたまった余分な水分や老廃物を回収し、血液に戻してくれます。

リンパを流すためには、筋肉の動きがポンプの役割を果たします。そのため、ずっと同じ姿勢で動かないでいると流れが滞り、むくみの大きな原因になってしまいます。

さらに、もうひとつの原因が「水分不足」です。女性の場合は、1日1.5リットル程度を目安に、一気に飲むのではなく「こまめに」水分を補給することが大切です。

 

ー水分をとりすぎるとむくみやすいのかと思っていましたが、逆なんですね。

そうなんです。体内の水分が不足すると、身体は「水を失いたくない!」と感じて、逆に水分を溜め込もうとしてしまい、その結果、むくんでしまいます。

そしてもうひとつ大切なのが、運動です。
血液は心臓がポンプの役割をして全身を巡りますが、ずっと同じ姿勢でいると重力で足元に水分が溜まりやすくなります。そこで活躍するのが「ふくらはぎ」。

ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれていて、ここの筋肉を動かすことでポンプのように血液やリンパを全身へ押し戻してくれます。

 

寝たまま・座ったままできる「ふくらはぎ」ケア

ーむくみにくくするためには、ふくらはぎを動かすことが大切なんですね。

はい。
ただ、忙しいママや妊婦さんが「むくみケアのために運動する」というのはハードルが高いですよね。
妊娠中や産後は動きすぎも良くないので、座ったままや寝たままできるケアがおすすめです。

まずは、座布団や椅子に座った状態でできるケアから。
足を伸ばして座り、足の指先を遠くに伸ばしてから手前に引き上げる動きです。ポイントは、つま先を手前に引き寄せるときに「かかとを奥にグッと押し出す」こと。これだけで、ふくらはぎがしっかり伸びて効いてきますよ。

このほかにも、足首をぐるぐると大きく回したり、足の指をギュッと握って開く「足指グーパー」もおすすめ。
日頃あまり動かさない足の指を動かすだけでも、ふくらはぎの筋肉が刺激されます。

 

ーこれなら寝る前や、授乳中・座っている時間にも試せそうです!

産後は激しい運動が難しい時期だからこそ、ふくらはぎを意識して動かすだけでも違います。

あとは、私がよくやっているのが「膝を使ったマッサージ」です。
仰向けになって膝を立て、片方のふくらはぎを膝の上に重ねてグリグリと圧迫します。手を使わずにふくらはぎをほぐせるので、私はいつも子どもを寝かしつけしながらやっています(笑)。

ー寝かしつけの時間を有効活用するのはいいですね。習慣化もできそうです。回数などの目安はありますか?

どれも1セット「30秒」を目安にしてみてください。
1日1セットからでも十分効果がありますし、余裕があれば朝と夕方の2回できるとベストです。

 

食生活やリンパ節のケアで、むくみを溜め込まない身体へ

ーほかにも日常で気をつけられることはありますか?

体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出してくれる「カリウム」を意識して摂るのもおすすめです。ほうれん草や小松菜、ブロッコリーなどの野菜、納豆や枝豆などの大豆製品に多く含まれています。
私も手軽に摂れるよう、冷凍のブロッコリーや枝豆を活用したり、納豆を冷蔵庫に常備したりしています。

あとは、前編でお話しした脇の下だけでなく、「股関節(足の付け根)」や「膝の裏」などにも大きなリンパ節があります。先ほどご紹介した「膝にふくらはぎを乗せるマッサージ」は、実は膝裏のリンパもしっかり刺激できるので一石二鳥です。

 

ー未愛さんご自身も、妊娠中のむくみを感じることはありますか?

もちろん、あります!
普段から意識はしていますが、少し長めに歩いた日などは「あ、今日は足がむくんでいるな」と実感しますね。

むくみを放置してしまうとどんどん足がパンパンになり、1回ではケアしきれなくなってしまいます。だからこそ「放置しないこと」が大切。
「今日はむくんでいるな」と感じたら、その日のうちに足指グーパーなどをやって、こまめにリセットするようにしています。

 

「心地よさ」と「ながらケア」で自分を労わろう

ー最後に、妊娠中や子育て中のママへメッセージをお願いします。

まず妊娠中の方へ。「妊娠中だから体が重いのも仕方ない」と諦めてしまいがちですが、少し体を動かしたりマッサージをしたりして「あ、スッキリしたな」という小さな変化を感じてみてほしいです。

自分の身体の「心地よさ」に敏感になることは、産後の生活にもきっとつながっていきます。出産後は赤ちゃん中心の毎日になりますが、ママ自身の身体にも目を向け、自分が心地よい状態を作ってあげてください。心が安定すると、育児にも少し余裕が生まれてきますよ。

 

ー「やらなきゃ」と義務感になるとつらくなってしまうので、自分の「心地よさ」を基準にするのはとても大切ですね。

そうなんです。
身体に不調があると、どうしても気持ちまでネガティブになってしまいがち。
でも身体がラクだと、妊娠生活や育児にもポジティブなイメージを持ちやすくなります。

子育て中のママも、慌ただしい毎日だからこそ「ながらケア」を日常に落とし込んでみてください。ドライヤーで髪を乾かす時に壁に背中をつけて「正しい姿勢」を思い出したり、お皿洗いや寝かしつけのついでにストレッチをしてみたり。寝かしつけのときに足首のストレッチを日課にしたり。
わざわざまとまった時間を作らなくても、「これならできるかも」と思えるところで折り合いをつければ大丈夫です。

産後の身体は人生最大級に体力が落ちている状態ですから、何事も続かなくて当然ですし、できなくても自分を責める必要はまったくありません。
「今日もちょっとケアできた!私ってすごい!」と自分を褒めながら、無理のない範囲で身体を労わってあげてくださいね。

 

***

 

運動する時間をわざわざ取らなくても、寝かしつけやお風呂上がりのドライヤー中など、日常のふとした瞬間に取り入れられる「ながらケア」。
むくみを感じたら、その日のうちに放置せずリセットする!という意識を持って、ぜひ少しずつチャレンジしてみてください。

ただ、産前産後は、身体も心も想像以上の負担がかかっている時期。
「続かないのが当たり前」と割り切って、あまり気負わずに。ママがご機嫌で心地よく過ごせることが一番大切だということを教えていただきました。

未愛さん、貴重なお話をありがとうございました。

 

ライター 後藤麻衣子

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