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子どもの好奇心を引き出す、絵本の置きかた

2021.11.03

子どもが大きくなるごとに、おもちゃも絵本も増えていきますよね。

どんなふうに絵本を置くと、子どもが絵本に興味を持ってくれるようになるのでしょうか? 自宅の絵本部屋に1000冊以上の絵本を持っているという「えほんがかり」のまこさんに、絵本棚の考えかたやコツについてきいてみました。

お話を聞いたひと
えほんがかり まこ さん

「えほん つながる ことば いのち」をテーマに、絵本の楽しさや奥深さを発信。“えほんがすきなおとな”、「えほんがかり」として活動する。NPO法人「絵本で子育て」センター絵本講師。絵本講座のほか、絵本に出会うきっかけづくりの一環として、さまざまなスポットに絵本を届ける「えほんがかり文庫」を自主企画し、全国47都道府県制覇を目指し活動中。現在は絵本講師の域にとどまらない自由な発想とフットワークで、独自の絵本コミュニケーションを発信している。岐阜県在住。一児の母。

表紙が見えるように置いておくのがおすすめ

ー絵本のディスプレイや、本棚のつくりかたのコツを教えてください。

絵本は、いつも子どもの身近に置いてほしいなと思っています。子どもが選びやすい、手に取りやすい環境を整えておくことが大切ですね。

子どもは、大好きな本なら文字が読めなくても背表紙を見て選び取ることができますが、買ったばかりでまだ読んだことがない本、図書館で借りてきた見たことのない本などは、やはり表紙が見える状態で置いておくと選びやすいと思います。
また、「選びやすい」「取り出しやすい」ということは、「お片付けもしやすい」ということ。表紙が見える状態で置いておける絵本のラックは、ひとつあると活躍すると思いますよ。

 

ーなるほど!でも、まこさんの絵本部屋にもたくさんの絵本があると思いますが、表紙が見えるラックに置く絵本はどう決めているんですか?

私は絵本ラックの本をたまに入れ替えながら楽しんでいます。基本的には、今の季節の絵本を入れることが多いですね。
秋になったらお月様の絵本。クリスマスが近くなってきたら、サンタクロースのお話の絵本。お部屋の雰囲気もかわるのでおすすめです。
あとは、誕生日が近くなってきたら、誕生日のテーマの本を置いてみたりとかもします。
新しく買ってきた本、図書館で借りてきた本も一緒に並べておいて、「どれを手に取るのかな?」と、いつも反応を楽しんでいます。

子どもからのアクションを「待つ」こと

ー新しい絵本があっても、お子さんに「これ読もう!」って積極的に勧めたりしないんですか?

子どもは、読み慣れた本が好きですよね。でも親としては「これも読みたい」「ぜひ読んでみてほしい」と思うこともあると思います。
新しい本を読むきっかけやタイミングはいくつかあります。たとえば、寝るまえに読む本をいくつか子どもに選んでもらうときに「ママはこれが読みたいな」って、親自身が読みたい本を一緒に持っていくのもいいと思います。
「これ買ったから、今日はこれにしなよ」ではなく、「ママはこれが読みたいから一緒に読もうよ」というアプローチ。大好きなママやパパが好きな本を、一緒に読むというのは子どもも嬉しく感じると思います。
でも、やはり親からの提示よりも「子どもからのアクション」を優先したいな、と常々思っています。環境を用意するのは親ですが、選ぶのはいつも子どもに委ねたい、というのが私の考えです。

 

ーなるほど。選択権はいつも子どもにあるということですね。

そうですね。それは絵本を選ぶときだけではなく、絵本を読むときも同じです。
大人は字も絵も見えていますし、絵本の意図や結末も知っています。
隠し絵があったり、結末に通じるヒントが途中で隠れていたりと、「ここがわかったら、きっともっと面白いのに!」っていうところに、大人は気付いたらつい口に出したくなっちゃうんですよね。それでつい、「ねえねえ、ここ見て」「誰か隠れてるよ」と、指をさして誘導しがち。
もちろんその場は楽しめますし、それもコミュニケーションのひとつと言えるかもしれませんが、私は時間がかかってもいいから、子どもが自分で見つけるまで、できるだけ黙って見守るようにしています。誰かに教えてもらって気づくより、自分で気付く方がきっと達成感も、楽しみも大きいんじゃないかな。
言いたい気持ちをグッと我慢して、本人が見つけるまで見守ってあげることで、きっとママやパパにとっても、子どもの成長を感じるきっかけになると思いますよ。

 

ーなるほど…! これからは見守ってみようと思います。

同じ理由で、読み終えたあとに「どうだった?」と感想を求めたり、「オオカミさん怖かったね」など大人の感想を言わないようにもしています。
子どもの方から感想を言ってくれたら、それに共感しながら会話をするのはいいことだと思いますが、大人からのアプローチは必要ないと私は思います。
「どうだった?」と言われすぎてしまうと、子どもは「感想を言わなければいけない」という思考で絵本を見るようになります。
絵本を楽しんでいる途中で「あとでここの感想を言おう」とか、余計なことを考えるようになると、純粋に絵本が楽しめなくなっちゃうんです。
物語が終わったら、絵本をパタンと閉じて、背表紙を見せて「おしまい」。それだけでもう、たっぷり一緒に絵本を楽しめたと思いますよ。

 

ーその絵本が気に入ったかどうか聞きたくて、つい聞いていました(笑)。

気に入ったかどうかは、「これ読んで!」ともう一回持ってくるかどうかで、判断できます。子どもは正直なので、気に入ったらもう一回持ってきてくれるはず。
持って来なくても、今日は満足できたということかもしれませんし、「きっと、今のタイミングじゃなかったんだな」と思って、もう一回本棚に休ませておけば、いつか出番がやってくる可能性も高いです。
いつも、子どもからのアクションを待ちながら、のんびり、ゆったりした気持ちで一緒に絵本を楽しんでほしいと思います。

 

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ライター 後藤麻衣子

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えほんがかり

まこ

「えほん つながる ことば いのち」をテーマに、絵本の楽しさや奥深さを発信。“えほんがすきなおとな”、「えほんがかり」として活動する。絵本の読み聞かせなどの活動のほか、その域にとどまらない自由な発想とフットワークで、あらゆる絵本コミュニケーションを独自で展開する。岐阜県海津市の家庭文庫「わたげBUNKO」の公開・交流、絵本を持ち寄る楽しい朝活「えほんモーニング」、さらに「えほんや 折りをり」としてマルシェ等で絵本の販売も手がける。NPO法人「絵本で子育て」センター絵本講師。岐阜県在住。二児の母。

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